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すんでのところで、縄をつかむ。
縄にぶら下がった状態になる。
でも、元のところにも戻れない。
下ではキャストたちが騒いでいる。
みんなでぼくの下に消火用水槽を持ってくる。
もちろん、ドラム缶サイズの水槽では助からない。
でも、ぼくにはまだ引き出しがある。
そう、この国最高の魔導士から盗んだ技だ。
夕食のあと、いろいろ試してみたのだ。
それで、簡単な火や風の魔法をマスターすることができた。
その風の魔法を利用すると、空から落ちてもその衝撃を緩和することができるのだ。
下に風魔法を撃つことでホバークラフトみたいに浮くことができるのだ。
ぼくは限界を迎えるような演技で、綱から手を放す。
そのまま、ステージに向けて落ちていく。l
観客たちの悲鳴。
下に風魔法を撃つことで、落下速度を和らげる。
そのまま、まっすぐ水槽におちて水しぶきを上げる。
しばらくしたら、浮き上がって、水槽のへりに捕まり大丈夫っていうように手をふる。
静まっていた客席に拍手と笑いが巻き起こる。
それと同時に、上では風太さんと舞衣さんのショーが始まるのだった。
キャストが引く車の上に置かれた水槽に入ったまま、舞台から退場する。
部隊から外に出て、水槽から抜け出す。
「よかったよ。前川くん
ほんとうに初めてなんだよね」
団長も満足気にほめてくれる。
でも、ゆっくりはしてられない。
ピエロはいちばん出番が多いのだ。
タオルで身体を拭いて、服を着替える。
そして、メイクも直してもらう。
つぎは空中ブランコの前振りだ。
ぼくは裏側からテントの天井に登り、また天井の舞台に現れる。
大きな拍手と笑いが起きる。
今度はブランコをつかんで空中に。
風太さんが、足をブランコにかけて、ぼくをつかもうとしてくれるんだけど、踏ん切りがつかないふりで何度も行ったり来たりする。
そして、やっと手を離して飛ぶけど、風太さんには届かない。
また、落ちていくぼく。
それを4人のキャストが布を広げて受けてくれる。
ぼくが無事なことがわかると、観客からやっと笑いが生じる。
ぼくはステージに降りて挨拶をする。
そして、ぼくの後に舞衣さんが見事に空中に飛んでくるくると回転し、風太さんがそれをつかむのだった。
観客席から大きな拍手が起こった。




