05
ぼくは体を起こそうとする。
星姫さんの前でみっともないところは見せられない。
なんかきしむような身体でとりあえず上半身だけ起こす。
星姫さんに会えただけで、ぼくの中には無限のパワーがわいてくるのだ。
「だ、大丈夫です」
ぼくは星姫さんに向けて拳をつくって元気アピールをする。
「でも、そうでもないみたいです」
星姫さんはぼくに微笑む。
そう、それだけで立ち上がれるし、練習を続けることもできる。
ぼくは立ち上がろうとする。
「無理しないでくださいね。
風太さんと舞衣はスパルタだから…
これまでに何人挫折していったか…」
「そうなんですか」
「はい、あの人たちは自分が認めた人しかステージに上がらせないんです。
だからステージキャストが不足して、単調なショーになってしまうんです。
もっとキャストがいたら面白いものができるのに」
「大丈夫です。
2人とも、ちゃんと教えてくれてます」
「そうみたいですね。
半日もったのは、前川さんが初めてです」
ぼくをほめてくれる星姫さん。
本当かどうかわからないけど、元気づけてくれてるんだ。
思った通り性格もいい子だった。
「ありがとうございます。
でも、ぼくはそんなに運動ができるほうでもないし…
でも、星姫さんにそう言ってもらえると頑張れそうです」
立ち上がろうとする。
でも、足に力がはいらない。
「あっ、本当に大丈夫ですか。
もしよければ、わたしが少し楽になる方法を知っているんですが…
ご迷惑でなければやってみてよろしいでしょうか?」
「でも…」
「たいしたことはないんです。
わたしのJOBは歌い手です。
その能力、歌で少しだけ癒すことができるんです」
まさか、ここで星姫さんの歌を聴けるの。
それもぼくだけのために歌ってくれるって…
「じゃあ、始めますね」
星姫さんはそう言って微笑むと、癒しの歌を歌い始めるのだった。




