02
綱に左足を踏み出す。
思ったより硬いみたいだ。
平均台って感じかな。
でも、すこし沈む感じ。
うん、いけそう。
もう一方の足も綱に乗せる。
すこし、足が震えるがすぐに止まる。
そして、前にすり足で歩いてみる。
大丈夫。
次は、片足を上げてバランスをとる。
すこし、ふらつくが落ちるほどではない。
そのまま、前に足を出して綱を踏みしめる。
今度は逆。
それもなんなくこなす。
「なかなかやるじゃん。
うちらでも、最初は何度も落ちたんだけどな。
団長の言うようにものまね師のJOBってすごいね」
舞衣さんは手をたたく。
「まあ、そこそこやるようだな」
面白くなさそうに横を向く風太さん。
すこし、飛び跳ねてみる。
これも大丈夫そう。
それから棒を放って、素手で歩いてみる。
たしかに舞衣さんのいうように少しバランスがとりにくい。
ヤジロベーのように両手を伸ばして歩いてみる。
これも大丈夫。
そのまま、端まで歩いてみる。
少し速めに…
なんとか、向こう岸にたどり着く。
「基本はできるようだな。
しかし、歩くだけじゃ芸にもなんないぜ」
風太さんはまた綱に飛び乗る。
その上を走って、宙返りを決める。
それから、綱の上で逆立ちしたり、バク宙をしたり…
いろいろな技を見せてくれる。
さすがに、プロの芸だ。
ぼくにこんなのできるのかな。
いちおう、ぼくも綱の上を走ってみる。
そして、宙がえりを決めてみる。
あれっ、できるじゃん。
「すごい、すごい」
舞衣さんが拍手をしてくれる。
「まあ、ここではできるみたいだな。
しかし、本番はあそこだ」
風太さんは上に張られた本番用の綱を指さすのだった。




