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「つきましたよ」
グレゴリオさんがぼくたちに声をかける。
こっちに来てからの疲れで眠ってしまったみたいだ。
「あっ、すみません」
「いいですよ。
おなかもすいたでしょう」
グレゴリオさんは笑顔で言う。
最初感じた嫌悪感なんてもうなくなってしまった。
でも、全部信じていいのかはわからない。
少しは警戒しておこう。
でも、ぼくたちをどうかしようとしたら、この人ならどんなことでもできるはずだった。
とりあえず、何もわからない世界で、頼りになる人と思っていいだろう。
ぼくたちは馬車を降りる。
そこは完全な異世界だった。
レトロな雰囲気のテント村。
ひときわ大きなテントのまわりに小さなテントが集まっている。
どれも実用的な感じでなく、赤と白が中心の派手なデザインだった。
まるでおとぎ話の世界だった。
この世界は中世的な世界。
その中でもサーカスというのは非日常な空間。
ぼくたちの世界でいうテーマパークといったところか…
もう、夕方の遅い時間だ。
外に出ている人もいない。
テントと言っても、布でできた小屋といったものだ。l
そのいくつかからは明かりがもれている。
そして、何か料理の匂いが漂ってくる。
グレゴリオさんはいろいろ紹介しながら進んでいく。
雨咲さんも物珍しそうにきょろきょろしながらついていく。
猛獣のいるテントや倉庫のようなもの。
そして、食堂があるらしい。
「ちょうど、今は食事の時間です。
みんないるかもしれません。
魔王様以外はね。
あなたがたをキャストの人たちに紹介しますね」
ぼくたちを外で待たせて、グレゴリオさんは中でも大き目のテントに入っていく。
中で何か話す声が聞こえる。
「それでは、中にお入りください。
みんなに紹介します。
大丈夫です。
みんな君たちと同じ境遇です。
みんな日本から召喚された人たちです」
ぼくたちはテントの中に入る。
そして、正面を見て、ぼくは驚きのあまり声を失った。
ぼくはその場に立ち尽くすしかできないのだった。




