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「お前は動けない!」
おっさんがそう言うと、逃げようとしていた頭目が派手に転ぶ。
まじかよ。
その能力ってチートすぎ。
「た、助けてください」
「ね、だから運が悪いっていったのに。
調子に乗るから」
「すみません。
もう、盗賊はやめます。
だから、命だけは助けてください。
あなたも、わかりますよね。
この世界の人なんでしょ。
異世界人のおかげでこの世界がどんなにひどくなっているか。
だから、こんなふうに奴隷を買っているんでしょ」
涙ながらに頭目はおっさんに訴える。
「まあ、今日はいい仲間ができて機嫌がいいから許してあげましょう。
晃くんもいいですよね」
「はい。べつに」
さっき人を殺したけど、何も思わなかった。
まるでゲームの中でのことみたいだった。
でも、べつに人を殺したいわけではない。
「もう、動いていいですよ」
おっさんがそう言うと、頭目と残った盗賊は這う這うの体で逃げていく。
「ちょうどよかったです。
あなたの力が確かめられて…
思ったとおりでした」
「でも、グレゴリオさんの力もやばすぎです」
「いや、そのうち、君には敵わなくなります。
一緒に魔王さまにお仕えしましょう」
「魔王さま?」
「そうです。
ぼくたちのサーカスの長は、この世界の12柱の魔王様の一人なのです。
そして、その力であの王国を倒しましょう」
なんかわからないけど、ぼくにはこの人についていくしかなさそうだ。
それに、このチートな人が仕えている魔王にも興味がある。
それと、一番大切なことは、浩二と啓之のことだ。
ぼくはあいつらを助けたいんだ。
もし、王国を倒せるのなら、それも可能だろう。
ぼくはまた馬車に乗り込んで、グレゴリオさんのサーカスへと向かうのだった。




