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「そうですか?
運が悪かったですね」
「わかったか。
逆らわなければ、この世界の者は許してやる。
異世界人は許さねえがな。
この世の地獄を見せてやるよ」
「違います。
運が悪いのはあなた方ですよ」
おっさんはそう言うと口元だけで微笑む。
「黒猫サーカス団に喧嘩を売るなんてね。
その剣はぼくの剣だ」
いつの間にかリーダーの剣はおっさんの手にある。
その剣をぼくに渡す。
「さあ、君の能力を見せてくれるかな?
大丈夫、君は死なないから」
おっさんはそう言って雨咲さんの前に立つ。
雨咲さんを守ってくれるってことか。
そして、ぼくに戦えと…
ぼくは剣をもって立ち上がる。
剣道もやったことない。
どうやって握ったらいいのかさえわからない。
でも剣を手にしたとたん、何かがぼくの中に流れてくる。
握り方、構え方、そういうのが分かる…
違う理解しているというのではない。
身体が覚えているというレベルだ。
ぼくは剣を構える。
そのぼくに向かってくるのは、2人の盗賊。
彼らも剣を構える。
その構えから彼らの剣術の腕もわかってしまう。
そう、剣術とはいえないレベルであることが見えるのだった。
ぼくは静かに上段に構える。
相手もぼくの気力みたいなのがわかるのだろう。
ぼくのほうに踏み込めなくなる。
「なんだ。こいつは?
形だけだ。
こんなガキを恐れるんじゃない。
行け!」
頭目の声を合図に彼らは踏み込む。
もちろん、2人同時にだ。
彼らはそうしなければ勝てないのはわかっているのだろう。
ぼくは、彼らの剣に向かって飛び込むのだった。




