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グレゴリオさんによると、ぼくの能力はものまね師ということらしい。
そういえば、ゲームでそんな能力のあるキャラがあったような気がする。
でも、あんまり使わなかった記憶がある。
「さっき、アーノルド騎士団長とルーベルト魔導士長に引き合わせましたよね」
そういえば、それもなんか不自然な感じだった。
他の商人が帰る中、グレゴリオさんだけおべんちゃらを言うために彼らに近づいていた。
それも、ぼくを引き連れて。
そして、ぼくを彼らのほうに押して…
その時、何かぼくの中に流れ込んできたような感覚。
ぼくは、おっさんの方を見る。
グレゴリオさんはゆっくりと頷く。
そう、あれはわざとだったんだ。
「あなたは、この国一のの剣技と魔導を手に入れたのです」
「でも、ぼくは魔法や剣なんて使ったことがないです」
「ええ、だから鍛錬は必要です。
たとえば、いくら剣技があっても、剣を持ち上げる力は必要です。
魔法を知っていても、それを使う魔力はありません。
だから、基礎的な修練は必要ですが、それが整えば彼らと同じことができるというわけです」
まさか、そんな能力だったなんて。
「おや、さっきからこの馬車をつけている者がいます。
盗賊でしょうかね。
このあたりも治安が悪くなったものです」
盗賊って…
でも、おっさんは落ち着いている。
まあ、なんとかできるのだろう。
雨咲さんは不安な目でおっさんを見るだけだ。
「おい、止まれ!」
そういう声がしたかと思うと、馬車はゆっくりと減速し止まる。
「動くな!金目のものだけいただけば手荒なことはしない」
そういいながら、ゆっくりと馬車の幌をあけて中を確認する。
「男2人に女1人です」
ぼくたちに剣を突き付けながら、男が報告する。
御者の人はもう車から降ろされて座らされている。
ぼくたちも降りるようにうながされる。
おっさんを見ると目で従うように合図される。
ぼくたちもおっさんに続いて馬車を降りる。
そう、ここで逆らうこともできない。
さっき能力のことを教えられたけど、まだどう使うのかもわからないのだ。
ぼくたちは、馬車の外で盗賊に言われた通り手を頭の後ろで組んで膝をつくのだった。




