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「ぼくはグレゴリオ。
黒猫サーカス団の団長です」
おっさんはさっきと違う口調で話し始める。
まるで、日本人のようなしゃべり方。
こっちの人のような時代がかった違和感がない。
「ぼくも君たちと同じ転移者なんだ」
おっさんはそう言うと、服の一番上のボタンをはずして、首を見せる。
そこには、ぼくたちと同じ入れ墨のような黒い輪がある。
「黒猫サーカス団は君たちを歓迎します。
安心してくださいね。
まず、君たちは高校生かな?」
ぼくたちは首を縦に振る。
「名前と歳を聞かせてもらっていいかな?」
「はい。ぼくは前川晃…
高校2年生、17歳です」
「わたしは雨咲紫織です。
高校一年、16歳です。
他のみんなはどうなるんですか?
転移者ならみんなを助けて。
お願いします」
「ごめん、それは難しいんです。
この奴隷の輪がある限り。
それと資金の問題もあって」
「あの金貨は?」
ぼくたちの代金として支払われた大きな金貨。
かなりの値打ちがありそうだ。
「サーカス団の資金です。
魔王さまにいただいたものです。
大金貨は向こうのお金では500万くらいの価値です。
ぼくたちにとって2人救うのが、精一杯なんです」
「ありがとうございます」
「いえ、力不足でごめんなさい」
「でも、しばらくは大丈夫だと思います。
移転者はそんなにひどい扱いをうけません。
まず、勇者や賢者は何年か演習をしないと使い物になりません。
だから、大金をかけて鍛えられます。
その大事な戦力は大切に扱われます」
そうか、じゃあ浩二たちは大丈夫そうだ。
おっさんの言葉にぼくは胸をなでおろした。




