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つぎにおっさんはルーバルトのもとに向かう。
さっきの騎士団長と同様に満面の笑顔で近づく。
「ルーバルト魔導士長、今回もいい買い物をさせていただきました」
「ふん、このハイエナが。
本来ならこんなところに入れてやる身分ではないんだがな。
宰相の知り合いだというから仕方がない。
まあ、残り物を全部さらってくれるのはありがたい」
「はい、わたしのサーカスは万年人手不足なのです。
異世界人以外の奴隷は禁止されていますので、なかなか新しい人が入ってこないのです。
好き好んで見世物になろうなんて物好きはめったといないのです。
それに、人間というのは壊れやすくて困ります。
空中ブランコから落ちただけで、使い物にならなくなるのですからね。
この間の奴隷も足を折って猛獣の餌です。
この次もお声かけ下さい」
そう言いながらまたぼくを突き飛ばす。
「何をするのだ」
手でこけそうなぼくを払いのける。
ルーバルトと触れたところからなんか流れ込むような感覚。
でも、ぼくの身体は何もかわらない。
気のせいかな。
「すみません。
この奴隷が魔導士長に謝れ!
ふらふらしやがって!」
ぼくを鞭で叩く。
ピシって音。
えっ、なんか痛くない。
おっさんはぼくをめったうちにする。
でも、やっぱり痛みはない。
「もう、やめてやれ。
使い物にならなくなったら困るだろう」
「わかりました。
この奴隷野郎、魔導士長に感謝しろ」
ぼくを怒鳴りつける。
そして、また耳元で囁く。
「このルーバルトがこの国で一番の魔導士だ。
わかったか」
そして、おっさんはぼくと女子高生を馬車のところに連れていくのだった。
ぼくたちを馬車に乗せると、自分も乗り込む。
御者に合図をすると、馬車は動き出す。
そして、おっさんはぼくたちに向き直るとにっこりと笑って言うのだった。
「さて、この世界の話をしようか」




