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「グレゴリオさん、いつもありがとうございます。
だれも買わない奴隷を引き取っていただいて」
「そうですね。
一種の慈善事業ですよ。
いつもローランス王国にはお世話になっていますからね。
国のおかげで我々は安心して過ごせるのですから」
グレゴリオは袋から金貨を取り出す。
なんか胡散臭い笑顔を浮かべてだ。
「おい、こっちにこい」
兵士に話しかけるときとは違う表情だ。
ぼくたちを呼ぶ。
仕方ない、おっさんのそばに行く。
「帰るぞ」
そう言うとおっさんは歩き出す。
ぼくたちはそのあとに続く。
女子高生には目で話しかける。
がんばれよって。
がんばったからどうなるってもんでもない。
でも泣いてたってどうなるもんでもないんだ。
無責任だけど、前向きにいこうよって。
女の子の涙は乾いている。
女の子もぼくに向かってうなづく。
「アーノルド騎士団長、いつもご壮健でなによりです」
さっきの騎士団長を見つけたおっさんはもみ手をして近寄る。
「ああ、グレゴリオか。
おまえも元気そうだな」
「また、奴隷を買わせていただきました。
しかし、まあ、出来損ないばかりですがね。
今度、勇者で使い物にならなくなったのがいたら、まわしてくださいよ」
おっさんはそでの下を渡す。
そのときに、ぼくにひっかかったのかぼくを押す。
ぼくはつんのめってアーノルドさんの方に倒れる。
「気をつけろ!」
アーノルドは僕を突き飛ばす。
そのとき、騎士団長の手からなにか不思議な感覚のものが流れ込む。
「すみません。
この奴隷が失礼しました。
あとできちんと教育しておきますので、ご容赦ください」
おっさんはペコペコと頭を下げる。
おまえが突き飛ばしたんじゃないか。
アーノルドから離れたおっさんの顔を見るとニヤリと笑っている。
そして、ぼくの耳元で囁くのだった。
「あれがこの国一の剣だ。
覚えておけ」




