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「それにしても、むかつく。
何も殺さなくていいのに」
舞衣さんがふくれている。
「でも、今、あのキングさんとは戦えないよ。
今は味方でいてもらわないと」
星姫さんは現実的な考え方をする。
「そうだよな。
俺と晃でも敵わないだろうな」
風太さんも肩を落とす。
何もできなかったことが悔しいみたいだ。
「悪い人じゃないんだけど。
魔王にしては話できる方だと思うよ」
ぼくはこう思う。
最初に会ったのが他の魔王なら、こうはいかなかったと思う。
人間を憎んでいるのだからね。
それにしては公平にものをみれる魔王だと思う。
「スズキさん、立てる」
「ええ、なんとか、ありがとうございます」
スズキさんは、なんとか笑顔を作って、お礼を言う。
「ところで、スズキさんはどうします?
王国に戻ります?」
風太さんが尋ねる。
「もう戻れないです。
戻りたくないです。
あそこは地獄です」
小さな声で答える。泣きそうな声。
「じゃあ、わたしたちのところに来る?」
舞衣さんが声をかける。
それがいいと思う。
この人は重戦士、防御力に極振りした戦士だ。
ぼくたちと違って、本物の戦闘要員だ。
味方になってくれたら、頼もしい。
「はい、できればお願いします。
でも、ぼくは落ちこぼれ組です。
きみたちの役に立てるかどうか」
力なく言うスズキさん。自信みたいなものを無くしているみたいだ。
だいぶひどい目にあったのだろう。
「じゃあ、決まりっ。
私が責任をもって団長に掛け合うよ。
行こっ、星姫」
舞衣さんと星姫さんは団長のところに駆けていく。
その後ろを風太さんとスズキさんと一緒に歩いていくのだった。




