18
リンドグリーンの悲鳴が続く。
スライムたちの捕食、それはゆっくりしたものであった。
牙や爪がないので、酸のようなものを出して、溶かして取り込む。
体液を取り込む。
それは永遠の拷問でもあった。
本当は殺してやったほうが幸せなのかもしれない。
でも、ぼくにはそんなことはできない。
リンドグリーンの悲鳴がやむ。
スライムたちは、体の中に入り込んで、内臓を食べているのだろう。
なんか、いやな音がする。
「もう、殺してあげてください」
ぼくはスライムキングに願う。
「君がやってあげるといい。
それにもうスライムの毒が回っているはずです。
それは麻薬のような効果があってね。
たぶん、夢の中にいる気分でしょう。
自然はそんなに残酷なものではありませんよ。
毒は動けなくするだけでなく、精神も奪ってしまう。
人間のように苦しめるためだけに殺すなんてことはありません」
キングの言う通り、ぼくはきれいごとを言ってる。
そうやって、自分をごまかしているだけだ。
「さて、コボルトたちの件はお礼を言います。
あなたがたの言うことは本当だった。
あらためて、手を組んでくれるようお願いします。
他の魔王はわたしが説得します。
大丈夫です。
ぼくは、魔王の中でも強いほうなんですよ。
だれも、ぼくの言うことに異論は唱えないでしょう」
確かにスライムキングは強い。
なんにでもなれるし、たぶん斬られても死ぬことはない。
相手にするととんでもなく厄介なのだ。
「さて、あとは…」
キングはそういうと、タナカさんに近寄る。
舞衣さんと星姫さんが彼らを助けているところだった。
舞衣さんが介抱し、星姫さんが癒しの歌を歌う。
それで、3人とも気を取り直していた。
キングはタナカさんに近寄ると、いきなり触手で心臓を刺す。
キングが触手を引くとタナカさんは血を吐いて倒れる。
「武士の情けというやつです」
キングはそう言って微笑む。
それから、サトウさんのところにも近寄る。
「やめてください」
ぼくは、同じようにサトウさんを殺そうとするキングを止めようとするのだった。




