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そう、星姫さんは苦しんでいない。
それから、倒れている勇者も…
この二人とぼくたちと違いは距離。
離れれば、首輪の効果はなくなるか、薄まる。
それは音波の強度だ。
たぶん、罰はあるていど選んであたえることができる。
それは、至近距離で笛を吹くことによってだ。
だから、リンドグリーンから離れればいい。
ぼくは苦しみながらも、後ろに飛ぶ。
そう、電流はましになる。
「舞衣さん、風太さん、離れるんです」
「ちっ」
リンドグリーンは舌打ちする。
図星なんだ。
逃げ切れるのか。
こいつは、ぼくたちみんなの天敵だ。
団長や渋沢さんでも勝てないかもしれない。
魔王もぼくたちと同じなら勝てない。
でも、10メートルも離れたら大丈夫ってことは、打つ手もある。
とにかく、苦しくても後ろへ…
「俺から逃げようというのか?
その身体でそんなに動けるかな。
とにかく、いちばん厄介なのはお前のようだ。
残りの2人はなんとでもなる。
さあ、楽にしてやろう」
リンドグリーンは笛を吹きながら、剣を構える。
こいつは槍だけでなく剣も使えるみたいだ。
その構えも、隙のないものだった。
もう、打つ手はないのか…
首が締まった状態ではなぜか魔法は使えない。
たぶん、集中できないからだ。
剣技も使えない。
星姫さん、逃げられたかな。
とにかく、ぼくはこれで終わりだ。
でも、せいぜいあがいてやる。
みんなが逃げる時間を稼いでやる。
苦しい中でも、身体をねじって逃げる。
剣筋は見えてる。
何回躱せるだろうか。
勝ち誇った顔で剣を振り回すリンドグリーン。
その後ろに何かが見える。
あれは…
その時、リンドグリーンの剣を持つ腕が肘から切り落とされ落ちるのだった。




