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「これは使えないな。
ミミック、ものまね師か。
これを見てみろよ。
体力、魔力、力、速度、すべて並み以下だ。
最低は大金貨1枚だったよな。
高い買い物だ。
すこし負けてくれねえか」
ハゲのおっさんはぼくを指さして言う。
鑑定石にはいろいろな記号が表示されている。
そこにぼくのステータスが書いてあるのだろう。
ミミックってものまね師だったんだ。
おっさんの言葉でぼくに興味を持っていたおばさんも離れてしまう。
「グレゴリオさん。
商売の邪魔は勘弁してください」
兵士がおっさんに注意する。
「わるいわるい。
おわびに売れ残ったら、わたしが買い取りましょう。
わたしのところならピエロで使えるでしょう。
もし、使えなければ猛獣の餌にでもしますから」
おっさんは勝手なことを言う。
だめだ、こいつに買い取られたら…
いやな予感がする。
「じゃあ、これで」
何か紙に書いて兵士に渡す。
そして、おっさんは離れていく。
こんどは女子高生の中でいちばんかわいい子のところへだ。
なんか、また適当なことを言ってる。
「いやー、これだけブスだと、大金貨は高いよね。
それにこのステータス。
体力もないってどういうこと?
これもはずれだな。
まあ、掃除婦くらいにしかならないな」
さっきまで一番集まっていたところなのに、みんな離れていく。
おっさんは何か書いて兵士に渡す。
「さてさて、ろくな出物はないな」
さっきの子、こんなおっさんに買い取られたらとんでもないことになりそうだ。
でも、祈るしかない。
ぼくは逆らうこともできないのだ。
ごめん。
心の中で女の子たちに謝るしかない。
たぶん浩二も啓之も同じだろう。
ここで死ぬ気で抗い殺される。
そんなことはできない。
足が震える。
ぼくは自分の無力さを恥じるしかなかった。




