13
まず、相手の力量をみよう。
正眼に構えて、すり足で動く。
たぶん、相手は槍の達人だろう。
ぼくが構えたとたん、とんでもない殺気を放ってくる。
この気を感じるのは、渋沢さんから吸収した力だ。
相手の力量を計るのと、相手の次の動きがある程度予測できるのだ。
「なかなかの構えだ。
アーノルド団長と同じ流派か。
だが、魔術師風情の剣がわたしに通じると思うな」
いきなり、リンドグリーンの槍先が動く。
大きく左から右に軌道を描いて、回転し始める。
そう、リンドグリーンは頭上で槍をまわし始める。
槍先に集中しようとするが、その動きは大きく速い。
普通はこの槍を動きを目で捕えようとする。
ただ、それは目の動きで読まれやすい。
その時、気の流れを読むのだ。
目は半分開いてよけいな情報を遮る。
回転する槍先のスピードは速くなる。
でも、渋沢流を真似ることができるぼくには関係ない。
もう、攻撃の先が読める。
回転させながら、突きを繰り出してくる。
槍特有の点の攻撃。
長い柄を利用した線や面の攻撃も可能だ。
だが、リンドグリーンは達人だ。
そんな悪手は打ってこない。
そう、槍の弱点はその長い柄。
その部分は金属ではない。
もし、それが金属なら重くて扱えないだろう。
元の世界ではカーボンファイバーとか軽くて強い素材がある。
でも、この世界では木しかない。
ぼくの獲物は剛剣。
木くらいなら叩き折ることができるのだ。
それを点の攻撃をすることで、防ぎながら攻撃をしているのだ。
リンドグリーンとしては必勝の布陣。
突きの回数はだんだん増えていく。
でも、相手は間違ってる。
ぼくの力量を見誤ってるのだ。
ぼくは渋沢流だけでなく、剣王アーノルドの剣も使える。
その剣は力強く、そしてぶれない。
それに今、リンドグリーンの槍も学ぶことができた。
その人の武術を手に入れるということは、その弱点を知るということ。
リンドグリーンは一度槍を引く。
「なかなかやるな。
しかし、わたしの槍には勝てない。
奥義二段突き」
槍遣いはそう言って突きを繰り出すのだった。




