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スライムキングの力はぼくの能力と相性のいいものであった。
ミミックは能力を真似ることができるのに対し、スライムは形を真似ることができる。
それも、人間だけに限らない。
サイズ感があうものについては、なんにでもなることができるのだ。
自分の材質まで変えることができる。
これは使い方によっていろいろなことができる。
例えば、人間であればその人になりきることができる。
形だけでなく能力や動きまで真似られるのだ。
これは潜入するのにすごく都合がいい。
それにしても、帝国って勝手な国だ。
ぼくたちだけでなく、スライムたちにまで迷惑をかけているなんて。
あらためて、帝国と戦う意思をかためる。
そのあと、団長や風太さんにもスライムキングのことを話す。
団長の見立てでは、そろそろ帝国は大きな動きを始めるだろうと言う。
だから、今回のメトロシティでの公演は重要になる。
できれば、大手の興行団と手を結んで帝国と戦う力にしたい。
白猫雑技団や青蛇歌舞伎座なんかを味方につけられたら、帝国と戦うのに心強いとのことだ。
大手の興行団は帝国と対抗できるだけの力を持っている。
だから、自治区である劇場都市メトロシティを治めているのだ。
メトロシティには4大興行団が常在している。
その力が拮抗していることで安定しているとのことだ。
そして、メトロシティに攻め込むものがいると興行団は団結する。
渋沢さんが言うには、帝国の1万人の大隊を退けたことがあるらしい。
その力を手に入れる手立ては団長の頭の中にあるとのことだ。
もちろん、目の前で不敵な笑みを浮かべる渋沢さんの作戦もあるんだろう。
難しいことはこの2人に任せておけばいい。
ぼくたちは、馬車でメトロシティに向かう。
とにかくハードな旅になりそうだ。
ぼくと渋沢さんは、見張りの番を変わる。
「まかせといて、ずっと寝ててもいいよ」
舞衣さんが胸をたたいて交代してくれる。
乱暴だけど、すごく優しい人だ。
風太さんはまだ眠そうにしている。
この人はすごく寝起きがわるいのだ。
「よろしくお願いします」
ぼくは礼をして、寝台に移る。
ぼくのもう一つの特技はすぐ寝れること。
スライムのこととか考えることがいろいろある。
普通なら、眠れる状態じゃないんだろう。
でも、ぼくは横になったらすぐに眠ってしまう。
浩二や啓之はこの能力がうらやましいって言う。
マネカワは大物だって。
大物はおまえらだよ。
ぼくは、いつの間にか眠りに落ちていたのだった。




