05
「おじさんは、ぼくたちのことわかっているの?」
「ああ、君は魔王の一人だね」
「そう、でも魔王って言うのは人間の言い方だね。
ぼくはスライムキングに過ぎない」
「失礼しました。スライムの王よ」
渋沢さんは頭を下げる。
「うん、いいけど。
君たちは僕たちをほろぼすためにこの世界に呼ばれたんだよね。
勇者とかいったかな。
ぼくたちの仲間が経験値稼ぎとか言って、たくさん倒されているんだ。
だから、魔族としては団結して君たちをたおす」
「しかし、私たちは帝国とは違います。
むしろ、帝国の犠牲者なんです。
君たちと同じで帝国を倒して、元の世界に帰ろうとしているんです。
だから、君たちと同じ、帝国の犠牲者なんです」
「でも、転移者だよね。
特別な能力をもっているんだよね。
じゃあ、危険だからここで殺すのもありだよね。
どうしようかな」
「ぼくたちは帝国と戦おうとしてるんだ。
友達を助け出すために。
だから、君たちと戦う必要はないんだ!」
ぼくは黙ってられなくなる。
あのぼくたちを呼び出した帝国と同類だと思われていることに我慢ができなかった。
ぼくたちの平和な日常は帝国の勝手な事情で壊されたんだ。
「やめたまえ、晃くん。
わたしたちは、君たち以上に帝国に対して恨みをもっています。
何もわからないままにこっちに連れてこられたのですから。
だから、わたしたちの話を聞いてください。
わたしたちは、君たちと関係なく帝国を潰す気でいます」
渋沢さんはぼくを止めて交渉する。
ちょっと自分を失ったみたいだ。
帝国と親友たちのことを考えるとこうなってしまうんだ。
でも、渋沢さんが冷静な人でよかった。
ぼくだけなら戦っていたかもしれない。
「じゃあ、話だけでも聞くよ。
でも、それが事実でなかったら、覚悟しておいてね。
ぼくはキングの中でも強い方なんだ。
魔族の十王のひとりなんだ」
スライムキングは腕組みして、ぼくたちを見る。
さっきほどの敵対心は感じない。
ぼくは召喚されたときのことをキングに話すのだった。




