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ただ、仮面劇場を無罪放免するということではない。
仮面劇場の収益の一部を黒猫サーカス団が受け取ることとなる。
つまり、仮面劇場の株を黒猫サーカス団が持っているという感じだ。
こういうことは、渋沢さんの仕事だ。
すでに評価されている伝統芸能を手に入れることで、安定的な収益を上げる。
そして、伝統芸能とのコラボでも客を呼べる。
とにかくカリスマ経営者の考えていることは、ぼくごときには全貌が読めない。
サーカスの興行は、中央広場に戻って行われる。
もちろん満員御礼だ。
それから、横でやってる仮面劇場も人が入っているらしい。
それから、仮面劇場とのバトルの興行収益もすごかったみたいだ。
団長は団員に特別ボーナスを配ることとなる。
「晃くん、待った?」
舞衣さんが手を振る。
そう、今回のボーナスで何かおいしいものでも食べに行こうということになった。
街の中央の有名なレストランだ。
もちろん、舞衣さんと二人でってわけではない。
舞衣さんのとなりには星姫さん。
そして、ぼくの隣には風太さんだ。
星姫さんはワンピース姿。
すごく新鮮に映る。
普段はドレス姿か練習着姿しかみたことがないからね。
テントも男女別となっているしね。
ぼくは星姫さんに見とれてしまう。
こっちに来て唯一良かったことは、こっちで星姫さんと会えたことだから。
「ごめんなさい。遅くなって」
「ううん、今来たとこだし」
テント村の入り口には、ぼくが一番最初に来ていた。
「まあ、おまえらが遅いのはいつものことだしな」
風太さんは、こういうのに慣れているのか、自然体だ。
ぼくなんて、無茶苦茶緊張しているのにな。
「じゃあ、行こうか」
舞衣さんの言葉でみんな歩き出す。
風太さんの隣に舞衣さん。
そして、ぼくの隣には星姫さん。
ぼくたちはたわいもない話をしながら歩く。
よく笑う星姫さん。どちらかというと、おとなしい感じかなと思っていたけど、普段は違うみたいだ。
普段着の彼女を感じられることがすごくうれしい。
でも、この世界との戦いは続いていく。
ぼくたちは、つかの間の休息を楽しむのだった。




