おなかすいた
ぐるぐる...きゅー...
私のお腹は虚しく鳴く。
高杉さんは笑いを堪えている。
うぅ....穴があったら(以下省略)
もう笑ってくれていいです...
天と地の差があるあなたに笑ってもらえるなら、上京してきた意味ありました...泣
「ふふ...ごめんね、笑っちゃって。待ってね。何かあるかな....」
高杉さんはキッチンへ行く。
私はその場にいるのもあれなので、ついていく。
あちこち開けた後、彼はうなった。
「うーん、ごめんねー。何もない!なんか買ってくるわ。」
ちょっと待ったである!
「いやいや、私がお世話になる身なので買ってきます...!!」
「でもこの辺わかんないでしょ?あと買った後もここまで帰ってこれる?」
やや笑いながら言われてしまう。
「ぐ...ググればなんとか....!!」
「まぁまぁ、こういう時は甘えていいんだよ。テキトーに座ってていいからさ。ちょっと待っててね。あ、食べたいものある?」
先ほど外したばかりのマスクと帽子を装着しながら、食べたいものまで聞いてくれる。
やっぱアイドルってすごいなぁ....
なんて考えてると目の前で手を振られる。
「おーい、聞いてる?」
「ぬあ?!すみません、なんでも大丈夫です。」
「りょーかい。じゃ、行ってくるね。」
「お、お願いします...!!」
と、そんな調子で彼は出て行った。
テキトーに座っててと言われても。
ここはアイドルの家である。
まだ入口からキッチンまでしか見てない私にどこに座れと?!
とりあえずリビングに行く....広い!!
ベランダ付き!
外を覗くとやっぱり高層階である。
眺めが綺麗。
もうすでに日は暮れていて、都会の夜景が広がっていた。
綺麗だなぁ....
眺めてる間に私の彼への想いについて話そう。
そんなことを言ってるってことは好きなんだろう!と思われると思う。
そう、私は彼のファンである。
デビュー当時から...ではないが、ファンになってから10年近い。
ライブは恐れ多くてまだ行ったことはないが、CDは揃ってるし、テレビや雑誌は要チェックしていた。
グループの中でも祐也くんが大好きだった。
そんな彼が!目の前にいる。こんな私に話しかけてくれる。もうどうしていいかわかんないの分かってくれる?!
そんな好きな彼のことを『高杉くんですか?』と苗字で聞けることができてよかった...
初対面の人に名前で呼ばれるのはやだよね?
あーでも、職なし、家なしでお腹までなるとは...悲しすぎる。
そんなことを考えてると肩をトントン叩かれる。




