【番外編⑤】こっそり
ピピピピ...ピピピピ...!!
目覚ましの音で目が醒める。
外はまだ暗かった。
時計を見ると3時半を指していた。
...こんな時間にセットしたっけ...?
眠たい目をこすると彼が寝ていた。
かっこいいなぁ...
寝顔もイケメンって罪すぎない?
..............は?
.....え?!
どゆこと?!
なんで隣に祐也くんが寝てるの?!
てか、そしたら今の目覚まし祐也くんのはず。
そっと彼の肩を叩く。
「祐也くん?起きて?」
「....ん....。」
起きない。
このままこの寝顔を堪能していたいけど、寝顔が眩しすぎてドキドキしてきた。
いやいや、起こさないと!
「祐也くん、目覚まし鳴ってるよ?」
わずかに彼の目が開く。
と、同時に私は抱きしめられて。
わけわかんないけど、なんだかラッキーな状況。
「優...」
よ、呼び捨てですかっ?!
まびでしゅか?!
....心の声で噛むとか...。
ありえない...。
夢なのかな?
いやいやどうしよう!
「祐也くん〜!起きて〜!!」
そっと彼の目が開き、笑いかけてくれる。
「おはよ。眠れた?」
え....?
「お、おはよう....?
わ、私のために帰ってきてくれたの...?」
「そだよ。優ちゃん、1人で寝られるかなって。」
「だ、だいじょ」
「うぶじゃなかったでしょ?
だって、俺が見たとき泣いてたよ?」
「え、うそ!」
「ほんとほんと。この目でちゃーんと見たもんね。」
「俺に会いたくて来たんでしょ?
なんかあった?」
ドキッ...!
なんで...わかるの?
さりげなく言ってくれる一言が嬉しくて。
今日は帰らないって言ってたのに、私のことを気にして来てくれたのが嬉しくて、申し訳なくて。
この時間の目覚ましが無理して帰って来てくれたことを物語っていた。
謝りたい....けど、きっと祐也くんが欲しい言葉は違う言葉。
そしたら、私が伝えたい一言は...
「ありがとう。祐也くんの顔みたら悩んでたことどうでもよくなっちゃったよ。」
「話くらい聞くよ?」
彼の腕の中で首を横に振る。
「大丈夫だよ。」
彼はやや不安げな表情をする。
「それはホントのやつ?」
「うん。」
「そっか...。」
あれ?残念そう...?
「祐也くん...?」
「優ちゃんの話、大丈夫でも聞きたかったなって。」
そっか!そうだよね!
心配かけたくなくて言わないでおこうかなって思ったけど、
心配して帰って来てくれたのになにも言わないのは良くないか!
「仕事でね、すごく簡単なことミスしちゃったの。」
彼は私の目をみる。
「私、浮かれてたのかなぁって。
仕事はちゃんとやろうって思ってたけど、どこかでさ。
だから気を引き締めなきゃって思ってたんだけど、なかなか変えられなくて。
祐也くんに会えなくても、祐也くんのおうちに来たら心入れ替えられるかなってー?!」
ぎゅーっと強く抱きしめられた。
「優ちゃんいつも頑張ってるよ。
知らないところで、職場も変わって。
同じ仕事内容でも場所が変われば全然違うでしょ?
大変だったね。」
優しい。
私の彼はいつも優しい。
そんなとこが、大好き。
そんな気持ちを込めて彼の背中に腕を回す。
「ありがとう、大好き。」
「ふふ、俺も大好きだよ。」
幸せに浸っていると、スヌーズ機能で目覚ましが鳴り始める。
は!そだった!目覚まし!!
「祐也くん、いかないと!」
彼は目覚ましに手を伸ばして時計を見る。
「やば!マネージャーに怒られる!」
バタバタになっちゃったけど、彼を玄関で見送る。
「来てくれてありがとう...!気をつけてね...?」
「はぁい♫いってくるね。」
と彼は言うと私の頬に軽くキスして出て行った。
うわあああああ....!!
私はしばらくその場に座り込んでいた。




