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私の彼は  作者: Chiruha
番外編
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【番外編④】怪我

またある日彼の部屋で一緒に過ごしていた。

彼は明日使うという資料を読んでいた。

私はその邪魔をしないように隣で本を読んでいた。

「あいたっ...!」

突然彼が言い、反対の手で痛みのある方の手を押さえていた。

「え、大丈夫?みせて?」

「大丈夫、紙で切っただけ。」

大丈夫というわりに手を離そうとしない。

彼の目を見て訴えてみる。

「うっ...わかった、見せるよ。」

手は私の方に伸ばしてくれるが、やっぱり離そうとしない。

「大丈夫じゃ....ないの?」

気まずそうな彼。

「もしかして、怖い?」

私はよく足の小指を角でぶつけるけど、めちゃ痛いから指が変形してるんじゃないかと怖くて見れない時があるのを思い出した。

こくり、と彼は頷く。

「....幻滅した?」

「うううん、しないよ。

私も怪我したら怖くてすぐ見れないもん。」

こないだダンボールで切った時は押さえた手をなかなか離せなかったことを伝えると彼は少しホッとしていた。

「でも、こんなのカッコ悪いよね...」

「祐也くん、あっち向いてて?

祐也くんの代わりに私が見てあげる。」

ちらっと私の方を申し訳なさげに見て、彼は目線をそらした。

男の人っていつまでも子どもっぽいっていうけど、こういうとこみても呆れるどころかかわいい場面を見つけられて喜んでる自分がいた。

こんなこと言ったら彼は余計に悲しんじゃうだろうから胸の中にしまっておく。

「みるね?」

「うん。」

怪我しただろう手を押さえている反対の手をそっとめくっていく。

紙、のわりに深い傷だった。

手の圧迫がとれて傷口から血が垂れそうになる。

「...どう...?....ひゃ?!」

思わず彼の指を舐めてしまったため、彼は驚いている。

わわ!やっちゃった!

自分のならまだしも、人にされるって嫌だよね?!

「ご、ごめんなさい!!血が垂れてきてたから、つい...?」

彼はまだ反対側を向いてるため表情は分からない。

でも耳まで真っ赤になってた。

そっと彼の名前を呼んでみる。

「祐也くん...?」

「な、なに?」

まだ向いてくれない。

たぶん、いや、絶対照れてる!

やっちゃった側だけど私もめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!!

「祐くん?」

わざと呼び方を変えてみる。

「へっ?!」

「やっとむいた!」

「ご、ごめん、びっくりしちゃって...

も、もう大丈夫だから...!!

絆創膏貼ろうかなぁ〜?」

呼び方については触れずに挙動不審な彼。

私の手から逃れて彼は絆創膏を探し始める。

彼の温もりが離れていくのが寂しかった。

片手で探しているためか、なかなか見つからない。

「私持ってるから、貼ろうか?」

控えめに聞くと探すのを諦めて彼は私の前に座る。

「お願いします...」

消毒して絆創膏を貼ってあげる。

「絆創膏貼るとさ、なんか強くなった気がしない?」

「わかる!さっきまで弱気だったのが大丈夫になるもん。」

「優ちゃん、ありがと。」

私はなんとも言えない気分になる。

「ごめんね?びっくりさせちゃって...」

彼はぶんぶん横に首を振る。

「びっくりしたんじゃなくて、ドキドキしたの。

やっと実った初恋だかんね?

こんなおきまりのシュチエーションで....

いや、お決まりだからこそドキドキしたのか。」

「わわ!そんなお決まりなことするつもりなかったの〜っ!!

ってか、お決まりなのって反対だよね...?」

「確かに!」

と2人で笑う。

なんでもないことで笑いあえる、そんな関係が好きだった。

「そいえば」と彼が切り出す。

「さっき“祐くん”って呼んだよね?」

形勢逆転感がある...!!

「へっ?!聞き間違いじゃ、ないかなぁ〜??」

「い〜や!絶対言ったね!いいなぁ、呼び方変わる感じ♫」

「わわわわわ!無理だよ、まだ祐也くんってしか呼べないっ!!」

「まだ?」

「あわわわわ!」

慌てる私をみて彼はニヤニヤしてる。

「いつかでいいよ。

呼んでくれるの、待ってるから♡」

あー、呼ぶんじゃなかった....。

でも嬉しそうだからいっかぁ...?

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