とっておきの場所ー祐也sideー
車を停め、降りた先は高台にある公園だった。
よくここに来る。
夜は人がいないのもあるけど、ゆっくり考えるのには絶好の場所。
台本とか読んでも迷惑にならないし。
普段は家で覚えるけど、一番初めとか役を掴むときにここへ来たりする。
それに星が綺麗だから。
「わぁ...!!きれい!!」
彼女は空へ手を伸ばしている。
都会では空は遠いけど、ここからなら近くにみえる。
見つけたばかりの時、俺も手を伸ばしたっけ。
「ふふ、そうでしょ?お気に入りの場所なんだ。」
「よく...来るんですか?」
「んー...考え事したい時とかあるじゃん?
そーゆー時来るかな。」
「へぇ...」
彼女は何か考えてる。
どんな時かわかりにくかったかな?と思ったため、さっきの説明につけたす。
「仕事とかさ。
ドラマの演技どうやったら、相手に伝わるかなとか。
そーゆー事よ?」
彼女は目をまるくして驚いてる。
かわいい。
素直にそう思う。
裏表がなくて、そのまま顔に出てる。
「わ、私って、わかりやすいですか?」
「うん。」
「うぇ?!」
「顔に書いてあるよ〜」
恥ずかしい〜!!
ふぃっと顔をそらされる。
からかいすぎたか?
「ごめんごめん、つい。」
彼女は首を傾げてる。
「...つい、可愛くてさ。」
目をぱちくりと瞬きしてるけど、止まってる...。
見てて面白い。
「だって、女優さんとか可愛い人、美人な人いっぱいいますよね?!」
「まぁ...そだね。
でも、好きな人と憧れる人って違うでしょ?」
「はい....。」
つい可愛いと言ったことを彼女は気にしている。
女優さんは美人で可愛い人もいるけど、彼女のように純粋に好きと言ってくれる、全身で表してくれる人はいなかった。
みんな俺の肩書きに惹かれてるっていうか。
裏が見えるとなんとも言えない気分になる。
まぁ、芸能界って繋がりとか気にしてそういうとこあるし...。
「女優さんとか業界の人は憧れることはあるけど、ほんとに好きなのは優ちゃんだけだよ。」
と正直に伝える。
でも、彼女は泣きそうになってるのを我慢しながら、上目遣いで見つめられてるっていうより、不安でいっぱいで俺の心を読もうと覗き込まれてるような気分になった。
「私のこと、好きって言ってくれましたけど、幼馴染ってことですよね...。」
「え?ちがっ!」
おっと?!俺の気持ち伝わってない?
「だって....!前に共演した女優さんと付き合ってるって...」
...そゆことね。
あの時の週刊誌か。
だからやなんだよ。
撮るなら、仲良く全員で打ち上げしてるとこ撮ってくれたらいいのに。
大成功に終わりましたー!的な裏話にしたらいいのに。
相手役だったからって恋に落ちるとは限らない。
思わずため息をつく。
彼女の方を見ると肩を震わせていた。
そっとその肩に手を置く。
できる限り優しい声で彼女の名前を呼んだ。
「優ちゃん
...あの週刊誌の記事は、でっち上げだよ。
あれは打ち上げの帰りで、周りにもいっぱいいたよ。
うまく俺らのとこ、切り抜いただけ。」
彼女は両手を握りしめていた。
強く。
だからそれを解いてあげる。
手のひらには爪の跡がくっきりと残っている。
痛そう...ごめんね。
俺のせい、だよね?
そっとその跡をなでながら続ける。
「それにあの女優さんには彼氏、いるよ?」
彼女の震えが止まる。
ーよかった。
もう一度、彼女の名前を呼ぶ。
「優ちゃん」
「こっちみて?」
そっと顔を上げてくれる。
優しく笑いかける。
「怒ってないよ?
むしろあの時言っておけばよかったよね。
ごめんね。」
彼女の涙が溢れてくる。
「ごめんなさいっ...!
私も、変なこと気にしてしまって...。」
そっと涙をぬぐい、彼女の頭をぽんぽんとなでる。
「それくらい気にしてくれてたってことでしょ?
ありがとう。」
誤解が解けて、よかった。




