やっと言えた言葉
「仲直りできたから、じゃあ本題ね。」
と彼は言う。
「え?生存確認的な感じで呼ばれたと思ってました...。」
「生存確認て(笑)聞きたいこと、あってさ。」
「聞きたいこと...?」
他になにかあっただろうか?
首をひねって考えても思い浮かばない。
「桜井さんの地元って、ここ?」
地名を言われて、私は頷く。
「はい、ずっとそこに住んでました。
今回上京して、初めて引越ししました。」
なんでこんなこと聞くんだろう?と不思議に思っていると、彼は口を押さえて驚いている。
「じゃ、じゃあさ...保育園の名前、教えて?」
私が保育園の名前を言うと彼は俯いてしまう。
え?え?なんで??
「だ、大丈夫ですかー」
彼の肩に手を添えると震えていた。
....泣いてるの?
確か彼は泣き顔を見せるのを嫌っていた、はず。
前にインタビューで言っていた。
それを思い出して私は顔を見ないようにしながら、そばにあった椅子へ誘導する。
素直に彼はそこへ座った。
「ごめんね....もっと早く思い出してればよかった。」
「なにを...?」
「桜井さん、いや、さゆ。」
彼は涙を拭き、私を見つめる。
「え...?さゆって...............えぇ?!私?!」
「そうだよ、自分の名前言えなくて、俺にそうやって自己紹介してくれた。」
嘘。そんな....。
涙が溢れてくる。
だって。だって。もう逢えないと思ってたのに。
「ゆ、ゆうにぃ?」
「うん。」と彼は今までで一番の笑顔で答えてくれる。
彼はそっと涙を拭ってくれた。
「だって!そんな...私、全然知らずにSTARSを応援してた....!!」
「俺を見つけてくれてありがとう。」
彼は両手を広げて私を見る。
次々と溢れてくる涙で彼の表情はもうわからなかったけど、彼の胸へ飛び込むと優しく抱きしめてくれた。
「きゅ、急にいなくなって、ほんとに、ほんとに淋しかったんだから...!!」
捨てゼリフのように泣きながら言う私の背中をさすりながら「うん。」と次の言葉を促してくれるかのように彼は相槌を打つ。
「ゆうにぃがまた迎えに来てくれるの、毎日待ってた...!!」
「ごめんね....?」
「なのに....!!私も今まで思い出せなかったのが申し訳なくて...!!」
そんなことないよ、と背中をトントンしてくれる。
「あの頃、ゆうにぃがもう来ないんだってわかって、落ち込んでた。
ゆうにぃとの思い出に蓋をしちゃってた...!!
ごめんなさい...!!」
彼を抱きしめる私の腕に力を込める。
「さゆは悪くないよ。」と彼も同様に返してくれる。
「...大好きっ!!」




