突然のハグ
ガチャリ。
ドアを開けるとさっきまでステージで輝いていた祐也くんが立っていた。
久しぶりに近くで見た彼は泣きそうな顔をしていた。
「お、お久しぶりです。ノックしなくてフライングしてすみません...。」
「そんなのいいよ!俺が呼んだんだから。」
となぜか腕を引かれ抱きしめられる。
うえぇぇええ?!
なんで?!なんでこんな状況に...!!
覚えててもらえたことが嬉しくて。
たくさんの観客の中から見つけてもらえたことが嬉しくて。
なのに!
なんなんだー!
もう脳みそ爆発しそう!
彼は私を抱きしめながら「考えてること、声に出てるよ?」と笑う。
「ごめん、びっくりしたよね?呼び出したりして。」
「な、んで?」
「こうでもしなきゃ会えないでしょ?」
と、彼は私を腕に閉じ込めながら目線を合わせた。
うぅ、心臓に悪い...。
「は、はい...。」
私たちは連絡先を交換せずに別れた。
だから、彼はその後のこと心配してくれていたと教えてくれた。
心配してくれてたなんて、優しすぎるよ...。
「心配してくれて....ありがとうございます...」
もはや涙目である。
彼が私を見つけてくれたときにめちゃくちゃ泣いたからもう出ないと思ったのに。
彼の前では泣いてばっかだ。
あれから仕事にも慣れて、あの洋菓子店にも行ったことを伝えた。
「そっか、克服できたんだ。よかった...。」
彼もホッとしたのか腕の力が緩む。
「あ、あの...腕....」
私の顔はゆでダコのように真っ赤なのをみて、彼は慌てて私を解放した。
「ん?うあ!ごめん!やっと会えたのが嬉しくて、つい...」
そんなこと言われたら勘違いしますよ...!!
さらに熱くなった顔を両手で隠す。
「えぇ?!なんで?」
「うぅ、こっち見ちゃダメです...。
こういうの、慣れてなくて...。」
私の手首をそっと彼は掴んで手をどける。
「かわいいよ?」
「そ、そんなコト...」
彼から目をそらし、その後つぶってしまう。
「ご、ごめんごめん!嫌われたくはないからやめるよ、」
急いで彼は私の手首から手を離す。
少し、淋しい。
彼を見上げると、しゅんとした表情。
「私は高杉さんのこと、嫌いになんてなりませんよ...?」
ぱぁぁっと霧が晴れるような笑顔で「ありがと」と返してくれる。




