き、来た!
涙が止まるまでどれだけかかったか。
気づいたら「今からそっち行くぞー!!」と祐也くんの声。
その声とともに彼らは一台のトロッコに乗って、アリーナの周りの道を進む。
うえええぇ?!
もう来ちゃう!
う、嬉しいんだけど!
やっと涙止まって、心の準備がまだできてない!!
と、とりあえず落ち着かないと!!
深呼吸...すーはー...。
人って字を手に書いて....飲み込む!
うああああ!
無理無理無理!
今までこんなことして落ち着いた試しなんてないけどさ!
って焦ってる間にどんどん近づいてくる。
汗で湿った手でペンライトとうちわを握り直す。
ど、どうか。
スタンドじゃなくて、私の方を祐也くんが向いていますように。
あと1/4周で来るが、祐也くんはスタンド側に手を振っている。
祐也くん、こっち見て!と願う。
お願いします、神様。
祐也運、最後でいいから使わせてください...!!
「祐也くん!祐也くん!祐也くん!!」
必死で名前を呼ぶ。
周りの人もそれぞれに呼びかけてるから届くかはわからない。
でも届いて欲しい!
「祐也くん!ゆう....」
呼び続けてるとこっちを振り返ってくれた!
やった!神様ありがとう...!!
一生分の感謝を込めて神様にお礼を伝える。
「ゆ....?」
名前を呼びながらうちわを振ろうとすると、祐也くんはこっちを見て固まっている。
さっきまでの笑顔が消えて。
....ん?
目が離せない。
私の方を見てくれてる。
そんな気がする。
いや、そんなことはないんだろうけどさ。
ファンってみんな自分の方を向いてくれてるって思うよね?!ね!
でもさ、違うの。
トロッコがゆっくりと目の前を通り過ぎていく中、彼は私を見ていた。
隣にいた圭太くんが肩をそっと叩いて、祐也くんは我に返っていた。
まだ名残惜しそうにしているけど、彼の顔には笑顔が戻っていた。




