絶望
........。
........、だからといって。
すぐに気持ちを切り替えられるわけでもなく、そこから近くの公園のベンチに座った。
今日はホテル探さなきゃとは思うけど、まだ日は登ってるし。
暗くなってからでも都会だからどこかしら探せばなんとかなるでしょ....。
はぁ.......。
ーどれくらい時間が経っただろう。
カラスが鳴いている。
田舎であれば鳴っている音楽は聴こえない。
だんだんと日は沈み、夕日が綺麗である。
一回座ってしまうともう立ち上がりたくなくなってしまった。
何度も立ち上がろうとするけど、この先のこと考えると嫌になってしまう。
「はぁ.....」
ため息つくだけ幸せ逃げるから、普段はつかない。でも今日くらいいいよね?と何度目か分からないため息をついてしまう。
「この先どうしよ....」
ふと目の前に影が現れる。
俯いていた顔を上げると1人の青年が立っていた。
「どうしたの?何かあった?」
と、その青年はやや小首を傾げて私へ話しかける。
カジュアルな服装であるが、ブランド物であるのか私の知っている質感とは違っていた。
ニット帽を被り、眼鏡をかけ、マスクをしているためどんな人物であるかは分からなかった。
でも眼鏡越しではあるけど、すごく目が綺麗だった。
知らない人にはついて行ってはいけないのは分かってるが、私は藁にもすがる思いで今日起こった話を話した。
「憧れていたお店で働くために上京してきました。小さい部屋ですが、一人暮らしも始めようと部屋も借りました。でも同姓同名の人が先に来ていて。働けなくなって、住めなくなって....ここには私の居場所がないんです...」
つぅ....と涙が一筋流れる。
見られたくなかったので、また俯いてしまう。
すると青年はしゃがんで私と目線を合わせ
「もう日も沈むし、春とはいえ寒くなるよ。今日泊まるところないんだったら、うちにおいで。」
なんて優しい人だろう。
最近いろんな犯罪が報道されているが知ったこっちゃない。
この優しい青年に今日だけ、お世話になろう。
「.....あ、りがとうございます...何でもお手伝いします」
「気にしなくていいよ。おいで。」
と手まで差し伸べてくれる。
その手を掴んで私は数時間ぶりにベンチから立ち上がった。




