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思い出せないー祐也sideー
朝の支度をしつつ考えていた。
あの夢は初めてじゃない気がする。
あの女の子とは保育園で遊んだ思い出ばかりじゃない。
浴衣を着て花火をした。
花火大会ではなくて、近所の公園で集まってやっていた。
地元のお祭りにも行った。
もちろん小さい頃だったから母親が付き添いながらだと思う。
覚えてないけど。
夢の中で「祐也くん」と呼ばれたような気がした。
それも関係あるのか?
あーっ、気持ち悪い。
なんなんだ。
今までこんな夢、見たことない。
あの子をなんで思い出す?
確かに彼女に腕を握られて。
人肌恋しくて昔の話を思い出した可能性もある。
上京してもしばらくは会いに行きたくて仕方なかった。
でも徐々に仕事が忙しくて。
それを理由にしてあの子の記憶が薄れていった。
....。
妹のように可愛がっていたあの子。
結婚したいと言ってくれて、あの子に認められたと嬉しくなったあの頃。
考えても答えは出ない。
あっという間に出かける時間に。
彼女に「無理しないでね」と伝えた。
泣きそうになりながら「はい」と答えてくれたけど、きっと頑張るんだろう。
彼女の頭をポンポンとなで、「笑顔でさよならね?」とアイドルスマイルで言うと、泣きそうになりながらであるが笑ってくれた。




