待ち人ー祐也sideー
今日はロケだった。
天気も良くて風は気持ちが良かった。
春のこんな陽気が一番好きだ。
しかも思っていたより早く終わったため、急いで帰宅しているとこ。
あの子待ってるかな?
鍵置いてったの使ったかな?
まぁ、使わないと外出れないけど(笑)
家で待っててくれる存在がいるってテンション上がるな。
チョコ飼いはじめたときも思ったけど、今回は人。
前よりも...な気がした。
ガチャ。自分の家の玄関を開けたはずだけど、緊張した。
彼女はパタパタと足音をさせながら出てきた。
(よかった。)
なにが良かったかよくわからなかったが、そう思ってしまう。
「おかえりなさい!」
照れているのか頬を赤らめながらの笑顔で彼女はそう言った。
いつぶりだろう?
一人暮らしが長くなってきているため、新鮮な言葉だった。
思わず驚いてしまったが(どきっとした)、彼女の照れがうつったのか、なんだか恥ずかしくなってしまった。
真っ直ぐ彼女の方を見て言いたかったのに、やや俯き加減になってしまったが「ただいま」と返した。
「泊めてもらったお礼にご飯を作ったんですが、夜ご飯は食べましたか...?」
まじか!ご飯!腹減ってたんだよな。
いやでもこれって彼女ぽいな。
と考えるとさらに照れてしまうが、笑顔で答えた。
「いや...まだ食べてないよ?ありがと。気使ってくれて。」
とお礼を伝えると彼女は嬉しそうに微笑んだ。
昨日落ち込んでたけど、少しは気持ちの整理もできたかな?
俺は部屋着に着替えてからリビングへ行く。
テーブルに焼肉と味噌汁、ご飯を並べられていた。
「お口に合うか分かりませんが、どうぞ...!!」
「いただきます。...あーやばいな、これ。美味しいよ。」
このやばいは胃袋掴まれる意味のヤバさである。
後ろを向いてガッツポーズしている彼女は可愛かった。
と微笑ましかったのはつかの間。
彼女は別れの言葉を言っている。
「短い間でしたが一生この恩は忘れません!いままでありがとうござー」
最後まで言い終わらないうちに彼女が行ってしまう気がして思わず腕を掴んだ。
「待ってー。どゆこと?出て行ってあてあるの?」
別に出てけとも言っていない。
むしろ落ち着くまでここにいてくれても全然構わないと思っていた。
このままサヨナラじゃどうなったか気になるし。
「あ、ホテルに泊まろうと思って。」
「いや....お金大変でしょ?」
まだ転職先が決まっていないのにホテル暮らしは辛いだろ?
いや、そんなことより腕を熱くないか...?
熱...?
「て...そんなことより熱くない?」
「ふぇ?まだ春なので暑くありませんよ?夜は寒いくらいです。」
天然かッ!と思わず脳内ツッコミしながら返す。
「いやいや、気温の話じゃなくて。....君、熱くない?熱ある?」
ばれた!というような表情の後に彼女は腕を払おうと必死である。
「は、離してください...!!うつります...!!」
「なんで平気そうにしてるのさ。そこ座って。」
首に手を当てて体温を測る。熱い。
「んーだいぶあるな。ちょっと待ってて。」
引き出しから体温計を探し、手渡す。
「ね、測って。」
「....はい。」
素直でよろしい。




