二人の防具
ドラングの武器屋を後にした4人は、以前ユーナの防具を購入した防具屋に来ていた。
「あら、前に買い物してくれた人じゃない。また来てくれてありがとう。」
どうやら、主人も美湖たちのことを覚えていてくれたようだった。
「どうも。今日はこの子たちの防具を買いに来ました。こっちの白狼種の子、アリサちゃんがアーチャー、ハーフエルフの子、スーリンちゃんが回復魔法使いです。しばらくは塔の1~3階層くらいを探索する予定なので、それに見合う装備があればいいのですが。」
美湖は二人を紹介し、彼女たちに見合う装備を要求した。
「なるほど。塔の1から3階層なら、当店でもある程度の品ぞろえがあるね。二人を少し借りるよ。予算はどれくらいだい?」
店主は、アリサとスーリンを見て、うなずきながら美湖に確認する。
「そうですね、二人の普段着や、下着なんかも買いたいので、それを含めて金貨5枚くらいで抑えてくれますか?」
「いいよ。それくらいあれば、それなりの装備にはなるはずだ。んじゃ、そこの二人、こっちに来てくれるかい?」
店主は、アリサとスーリンを連れて、店の奥のほうに行ってしまった。
「さて、僕たちは店の中を見てよっか。一つくらい、ユーナちゃんにも服買ってあげようか?」
二人が置くにってしまい、手持ち無沙汰になってしまった美湖は、ユーナに似合いそうな服を探し始めた。
『そんな、私よりもご自分の服を買ってください。ご主人様、自分の服にはほんと無頓着じゃないですか。私が選んで差し上げますから、ご主人様も少しおしゃれしてください。」
と、ユーナも美湖に似合いそうな服を選び始める。二人は、自分がいいと思った服を見つけると、片方を呼び出し着せ替えさせる。そうやって気に入った服が10着を超えたくらいで、店主がアリサとスーリンを連れて戻ってきた。
「お待たせ、って、あんたら何してんの?」
驚き半分呆れ半分の店主の顔を見て、美湖とユーナは苦笑いを浮かべるのだった。
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「まぁ、私は商品を買ってくれるのは歓迎だからいいけど。
さて、まずは白狼種の子からにしようか。この子は遠距離からの狙撃が主と聞いたから、軽装にしたよ。頭には、『翡翠の髪留め』、胴アーマーに『ライトロリカ』、腕アーマーに『スケイルガード』、腰アーマーに『スケイルスカート』、脚アーマーに『スケイルブーツ』を選ばせてもらったよ。あと、胴ウェアに『シルクチュニック』を5着、腰ウェアに『シルクパンツ』も5着だね。
ハーフエルフの子の方は、頭に『ヒーラーサークレット』、胴アーマーに『フェアリーローブ』、腕アーマーに『ブロンズバングル』、腰アーマーに『フェアリースカート』、脚アーマーに『ブロンズブーツ』、ウェアは白狼種の子と同じにしてあるよ。あとは、布の肌着セットを5着ずつで、金貨4枚と銀貨50枚だ。そっちの服はどうするんだい?」
店主は、二人の装備を紹介した後、美湖とユーナが選んでいた服を指して訪ねてきた。
「えっと、この服前部と、あとこっちの二人にも、同じくらいの服を5セットずつお願いします。」
美湖の苦笑いしながらの注文に、店主は満面の笑みで答えてくれた。
店主がアリサとスーリンの服を選んでいる間に、美湖は二人の装備を鑑定スキルで確認していた。
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翡翠の髪留め
髪留めに翡翠をあしらった品。装備者の速度を上げる。
SP +20
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ライトロリカ
薄い鉄板を要所要所に取りつけた軽鎧。行動を阻害しないくらいに軽く作られている。その分、防御力は低い
DF +10
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スケイルガード
フォレストボアの鱗を使って作られた籠手。左に小型の盾が取り付けられている。
DF +20
毒耐性 +5
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スケイルスカート
フォレストボアの鱗を使って作られたスカート。軽く、行動を阻害しない。
DF +20
毒耐性 +5
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スケイルブーツ
フォレストボアの鱗を使って作られたブーツ。軽く、行動を阻害しない。
DF +20
毒耐性 +5
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ヒーラーサークレット
ホーリービッグモスの鱗粉を混ぜた鉄で作られたサークレット。回復魔法に補正がかかる。
DF +10
MD +10
回復魔法発動速度上昇(微)
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フェアリーローブ
ホーリービッグモスの甲殻をあしらったローブ。回復魔法に補正がかかる。
DF +20
MD +20
回復魔法威力上昇(微)
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ブロンズバングル
青銅の腕輪に、クリスタルをあしらったもの。魔力を高める効果がある。
MA +10
MP +30
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フェアリースカート
ホーリービッグモスの甲殻をあしらったスカート。回復魔法に補正がかかる。
DF +10
MD +10
回復魔法威力上昇(微)
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ブロンズブーツ
青銅で作られたブーツ。
DF +15
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美湖は、鑑定結果に満足していた。それぞれのスキルや長所をさらに高めてくれる装備だったから。そして、それらの装備を付けた二人の姿に見とれていた。
アリサの白銀の髪に輝く翡翠の髪留め、彼女の体を包む各鎧は、彼女の動きを阻害しないように選ばれ、それでいて彼女の魅力を引き立てている。
スーリンの額に輝くホーリーサークレットは、光を受け神々しさを醸し出し、ローブやスカートは、まるで教会のシスターのように慈愛にあふれているようだった。
「さて、こんなもんかね。んじゃ、ご主人さん。占めて金貨7枚といったところだね。ったく、無駄にいいもん選んでるんだから。今度からもよろしくね。」
美湖は店主に金貨7枚を支払い、それぞれの服を魔札に封じて店を出るのだった。
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「それじゃ、装備も整ったし、少し魔物を討伐しに行こっか。」
店を出て、門に向かいながら美湖は3人に問いかける。3人は、
「私は構いません。新しいメンバーが加わったのです。それぞれの力量を確認しておくという意味でも必要なことかと。」
とユーナ。
「私も問題ありません。ご主人様に私の力を知っていただきたいですし。」
とアリサ。
「皆さんがけがをしてもぉ、私が治療しちゃいますぅ。」
とスーリン。
3人とも、行く気満々で返事をする。それを聞いて、美湖も満足そうにうなずき、
「よし、それじゃ、草原で魔物狩りだ~!!」
と、意気揚々と進んでいった。
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町の門を出て、しばらく歩いたところで、美湖たちは立ち止まり相談していた。
「まずは、僕とユーナちゃんがそれぞれ一人で戦ってみるね。アリサちゃんとスーリンちゃんは、僕たちの力や行動パターンを確認していって、自分たちがどう動くか考えておいて。ユーナちゃんも、それでいいかな?」
「はい、大丈夫です。ただ、この辺りの魔物では、少々物足りないのでは?」
美湖の言葉に、ユーナは不敵に返す。しかし、
「だぁめ。確かに、この草原の魔物は弱いけど、今回は連携の確認も兼ねてるんだから。だから、ユーナちゃんには、この短剣を使ってもらうからね。」
そう言って、美湖は封じ札から二振りのアイアンダガーを取り出した。
「はぁ、わかりました。ではこちらを封じてもらってよろしいですか?」
と、ユーナは、自身が装備していた赤銅の短剣と、海洋鉱の短剣を美湖に預ける。
「あの、ご主人様。」
「ん?な~に?アリサちゃん?」
ユーナとのやり取りがひと段落付いたと思ったアリサが、恐る恐る美湖に声をかける。
「私のスキル、ウッドクラフトの力も確認していただきたいです。なので、この辺りにある木を切り倒していただけませんか?」
「ん、了解。あの木でいい?」
美湖は、すぐ近くに生えている、太さ50センチほどの木を指して確認する。
「はい、十分です。よろしくお願いします。」
アリサの確認が取れたので、美湖は海洋鉱の剣に魔力を最大まで込め、一気に振り抜いた。すると、木はゆっくりと美湖の反対側に倒れていった。
「す、すごいです、ご主人様。剣で、一振りですか。では、スキルを発動します。」
アリサが、美湖が切り倒した気に対して手をかざしスキルを発動させる。すると、木が輝きだし、どんどん形を変えていく。太い幹がどんどん裂けるように分かれていき、さらに1メートルくらいの長さで切り分けられ、それらがどんどんと矢の形に変わていく。その様子を美湖たちは驚愕の表情で見ていた。
少しして、木は30本ほどの木の矢に形を変えた。
「ふぅ、できました。これが私のウッドクラフトスキルです。まだまだ、熟練度が低いので、あれだけの木からこれくらいしか生成できませんが。」
アリサが声を抑えて言う。それを聞いた美湖は、
「いやいや、すごいよアリサちゃん!つまり、木があればアリサちゃんは、残弾を気にせずに打ち放題の砲台になるんだから。」
と、アリサを絶賛した。美湖があまりに褒めるので、アリサは頬を染めてうつむいてしまう。
「こほん、ご主人様。では、最初にご主人様の力を見せてあげてください。ちょうどあちらから、ゴブリンが数匹迫っていますので。」
ユーナの声で、ほかの3人の表情が引き締まる。美湖は自分の得物を構えながら、
「オッケー。それじゃ、あなたたちのご主人様の力を披露するとしますか!!」
と、3ん人にウィンクを飛ばし、ゴブリン目がけて駆け出していった。




