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TWINE TALE  作者: 緑茶猫
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Flag6―心と約束と小さな樹氷―(1)

「頼む!」


「嫌よ」


「何で?」


「あ、アンタはアタシの敵だからよ」


「えっ……敵だったの?」


「うっ……」


 俺は今、現在進行形で懇願していた。わざわざ弁当を食べているクラスメイト達の注目を集めてまで誰に懇願をしているのかと言うと我がクラスが誇る女王様にだ。


 懇願している理由は俺がこの人の下僕だからでは無い。そもそも下僕でも無いのだか、こんな状況になった事の発端は朝にある。


 朝のショートホームルームの時、あのものぐさ紛いの振る舞いの担任はいつもの様に教室に入って来た。そこまでは良かったのだが、その後に言った異様なテンションでの一言が問題だった。



『良いかてめぇらよぉく聞けぇ! 冬季魔闘祭の予選は来週からだ! だが、最終日に発表される魔闘祭のクラス総合の成績が他のクラスより下だったら絶対に単位はやらんからなぁぁああ! いいか、優勝だぞ!? わかったら俺の為に働けぇぇいやぁぁぁぁああ!』



 なんでも学年ごとに発表される成績が見事クラス総合一位になったクラスとその担任にはボーナス的何かがあるそうだ。


 ちなみに魔闘祭とは模擬戦の大会で、学年ごとの予選があり、その予選が来週一杯を、本選が再来週一杯を使うらしい。


 また、今回は冬季だが、夏季に行われる魔闘祭で成績が良かった者は他の学校との対抗戦に参加する事になるそうだ。


 しかしそもそも冬季魔闘祭を行っているのは他国を含めた学校中を探してもここだけらしく、なんでもそれは学園長が楽しいからと言う理由で行っているらしい。


 そして予選の内容は学園長が決め、当日に発表されるそうな……不安だ。


 とりあえずまあ、話は逸れたが今日は水曜日なので魔闘祭までは後五日。しかし俺はこの実力のまま魔闘祭に出場したくは無い。


 理由は授業の模擬戦でいつもコーチ達と戦うのだが、今のところ一勝も出来ていないからだ。


 そこで学院一位のカーミリアさんに魔法を教えて貰おうと思い今に至ったのである。


「例え敵だったとしてもクラス総合で優勝しないと成績無いんだぞ?」


「アタシは大丈夫よ、学院一位だから学園長に直談判出来るもの」


「た、確かに……」


「ねぇカーミリアさん?」


「何、ロッテン?」


「レディでも良いんだけどな……でさ、ツカサ君がこんなにも頼んでるのに嫌なの? この潔い土下座を見ても?」


「嫌よ」


 いくらなんでも即答ってのはハートに響く。


「カーミリアさんはなんで嫌なの? ボクの見立てならツンデレの筈なのに!?」


「違うわよ! 誰がツンデレなのよ!!」


 諦めろレディ、この人にデレは無い。


「カーミリアさん……どうして俺を睨むんだ?」


「失礼な事を考えてそうだったからよ」


「……否定はしない」


 何でみんな俺の考えを読めるんだろう……。


「司さん顔に出てますよ?」


「マジで?」


「はい、マジです」


 どうして今まで誰も教えてくれなかったの? けど何はともあれ助かったよルーナ、これからは気をつけよう。


「で、話を戻すけどなんでカーミリアさんは魔法を教えてくれないんだ?」


「時間の無駄だからよ」


「じゃあ逆に何をしたら良いんだ?」


「アタシに得がある事ね」


 カーミリアさんに得があること……ふむむ。


「よし、カーミリアさん」


 俺はそう言って真剣な顔で彼女を見た。


「な、何よ?」



「俺と、友達になろう」



「えっ? あっ? えっ?」


 すると何故かカーミリアさんは顔を真っ赤にして良くわからない事を口走る様になってしまった。……何か間違えた?


「うぇ? うぉ?」


「ルーナちゃん! カーミリアさんが壊れちゃったよ!?」


「れ、レディちゃん落ち着いて下さい。こんな時は殴れば治ると聞きました」


「お前も落ち着けルーナ、人間は叩いても治らない」


 そんなやりとりをしている内に少し落ち着いていたカーミリアさんは未だに顔を真っ赤にしたまま、おずおずと俺を見上げながら話しかけてきた。


「な、何で?」


「何でって?」


「な、何でアタシなんかに友達になろうとかって言ったの?」


「だってカーミリアさん友達少なそあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛や゛めっ……カーミリアさんマジで腕が洒落にならない方向にぁぁあああああ!」


 痛い、凄く痛い……この人魔力付加して関節曲げにきやがった。冗談のつもりだったのに。


 そんな時、コーチが俺達に諭す様に語り掛けてきた。


「まあ落ち着きたまえマイハーレム達よ!」


「おい、俺は男だ」


「〝ブライズ〟」


「あががががっ!」


 カーミリアさん……アンタ躊躇しないんだな。


「俺は……大丈夫だぜ、傷つけられても……それが愛だとわかってるから……」


 コーチはむくりと起き上がりながら不敵に笑って言った。何を言ってるのだろうか? とりあえず無駄にイケメンなのがムカつく。


「つまりそんな攻撃は無駄だ。そして落ち着けマイハーレム達」


「レディ鼻血を止めろ」


「えへへーごめんねー」


 何だこのマイペースな人達。そして当のコーチは何やら急に真面目な表情を浮かべ、口を開いた。


「なあカーミリアさん、俺と一つ賭けをしないか?」


「賭け?」


「ああ、俺が勝ったら俺達に魔法を教えてくれ」


「じゃあアタシが勝ったら?」


「簡単だ。ツカサが下僕になる」


「ちょっと待てコーチ! リスクがでかすぎる!!」


「わ、悪くないわね……いいわ! 乗ったわ!」


「なんで一瞬頬を染めて満更でも無さそうな顔をした!?」


「うっさいわね下僕!」


「気が早い!」


 ……女王様だ女王様が居る。


「じゃあ証人はここ、一年C組のクラスメイト達な」


「その前に、内容は誰が決めるの?」


 レディまで話を進める方向に加担しやがった……。俺の意思はないのか。


「無論俺だが?」


「はあ!? アンタが決めるの?」


「どうしたんだ? 負けるのが恐いのか?」


 そう言って凄く顔やらしくニヤニヤとした表情を浮かべるコーチ。殴りたい。


「い、良いわよ! 例えどんな勝負であろうともアタシは勝つわ!」


 一方で顔を赤くしたカーミリアさんが喚呼する。その時コーチが悪どい笑みを浮かべたのが見えた。


「じゃあ……最高のゲームの発表だ……」


「な、何よ! 早く発表しなさいよ!」



「それは相手の穿いているパンツを当てるゲーム……名付けて! 『お前のパンツは何色だぁ! ゲーム』だぁ!!」



 どこが最高のゲームだ、史上最低のゲームの間違いじゃねぇか。



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