男だけのセカイ
こんどは男だけになった世界の想定です。
ジェンダー関係は参考にしてません。
男の時間の速さと女の時間の速さは全然違うなと改めて思います。
遺伝子改造により無から生まれたクローンの男たちは、頭脳明晰であったが、一方子供のように感情の起伏が激しく、横暴であり、野心的な一面を持っていた。
純性のクローンたちは、男性こそが理性をつかさどる最も素晴らしいエネルギーだと考え、争いを無くすため理性による統治を徹底的に追求し始めた。
また、内に秘める感情を抑えるために激しい研鑚を積んだため、より優秀になり様々な分野で活躍した。
彼らは優秀だが数が少ないため、あらゆる既存の勢力に対抗するため、地下組織を作った。
お互いに秘密のサインやシンボルを共有しあい、隠れてやり取りをした。
そのたくらみは成功し、純性クローンたちは「男色信仰」による支えもあり、多くの業界でカリスマとして称えられ、勢力は瞬く間に拡大した。
この時期すでに男性性がこの世界では上位とされていたが、さらにその純度を高めようとする男色浄化運動やその延長である魔女狩り思想が生まれ、支配層の中には肉体、精神共に理性中心の純粋な世界に作りかえようという一派もあらわれた。
彼らの力によって人類は宇宙に手軽に旅行することができ、科学技術、芸術、宗教、哲学の分野も著しく発達したが、社会全体がどことなく無機質、唯物的であり、射影幾何学的であった。
そのうち軍事、権力、メディア、金融まで進出するようになると、警鐘を鳴らすものがあらわれた。
「聖母信仰」のグループであった。
もっともこの時期になると「聖母信仰」も派閥が枝分かれてしてきた。
大きく分類すると二つに分類できる。一つは原初的な「聖母信仰」である。
これは先に説明したような聖母を祀る性の信仰であり、この時代では女の存在は神を誘惑する邪心の原因とされ、信仰自体が悪の象徴とされていた。
しかし、その流れに反発し、男の中に女を潜ませるような巧みな形で偶像を拝む信仰が生まれた。
彼らは乱世が続き、厭世観が世の中に漂うと、母なる国に自らの徳を積めばいけるという倫理や道徳を説いて救世的な信仰を集めようとした。これを「上女信仰」という。
原初的な「聖母信仰」は比較させるため「下女信仰」と云われた。
この「上女信仰」は紛争で荒廃した男たちにはすこぶる評判がよく、女は穢れとされていた時代でもかかわらず公徳を積めば天女に会いに行けると大いに布教された。
天女とは女っぽいが女とは違う、聖なる生き物だと布教する際には誤魔化していたらしい。
権力者側であった男色主義者も本来ならそんな建前は見抜いてしかるべきだが、治安が良くなるためならと、理性的にこれを見守っていたようだ。
彼らの目標はあくまで秩序の破壊ではなく、理性中心による統治である。
「純性信仰者」は「上女信仰者」は双方の考えが相いれないこと、それはお互いに承知の上だったが、現状の治世をまとめることが第一だと、しばらく緊張状態が続いた。
天女は聖母ほど神聖化されなかったが、聖母の使いなのだというだという考えも後に生まれた。
また、天国に行ったと吹聴する男もあらわれ、芸術や思想に大きな影響を与えた。
環境汚染は相変わらずで、人口も大幅に減ったが、テクノロジーの発展により貧富の格差をさほど感じなくなり、男だけの世界はしばらく安定期に入った。
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