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~困っている人を助ける、あるいは幸せにする機械~

作者: 風晴樹

突然だが俺は科学者だ。

最近では有名になり『天才科学者』とも呼ばれたりしている。

なぜなら、いろんなものを開発したからだ。

例えば、人が幸せになる薬や貧弱な人間を強くする機械などを開発した。


そんなある日、ある会社から声がかかった。どうやら、また新しい開発をしてほしいらしい。

しかし、ぶっちゃけその会社はあまり評判がよくないのだ。

(おおやけ)にはなっていないものの、私のような科学者や開発者を雇いその知識を盗んだりして会社のものにするらしいのである。

そんな会社からの依頼は、困っている人を助ける、あるいは幸せにする機械をつくってほしいというもの。


そのくらいの開発なら簡単だ。

でも、あまり評判がよくない会社なので断ることにした。

がしかし、よくよく考えてみると、その依頼を受けて貰える報酬の額が額だったので引き受けることにした。

私は次の日から作業にかかった。

毎日、毎日、深夜まで作業をし、そして依頼から三ヶ月後。

やっとその機械が完成した。




機械が出来たら会社の社長に連絡をいれるように頼まれていたので連絡をいれる。


「もしもし、社長。私です。機械が完成しました」


「そ、そうかよくやってくれた。では、明日の午後三時くらいに見に行くとしよう」


「はい、お待ちしております」




そんな何の変哲もない連絡をした後、私はふと思った。


この会社は評判が悪い、これは事実だ。なのになぜ研究中、私の機械の情報を盗んでこないのか?

そして、その疑念はある答えにたどり着いた。


多分今日、機械が完成し油断しているであろうこの時を見計らって社長自らこの機械の情報を機械ごと盗み出す気だ。


でも、まあいい。こうなることは既に想定済み。明日が楽しみだ。



そして、翌日。

三時、社長が来た。


私は客間のテーブルの上にその機械を置いて待っていた。


「どうも、社長。お待ちしておりました」


「いえいえ、どうだい調子の方は」


「へへ、機械が出来て嬉しく思っております。そして今日は、社長自ら……、わざわざここまで来ていただいてありがとうございます」


どうやら来たのは俺を油断させるためか社長一人だけだ。


「はっはっ。で、そのテーブルの上にある機械がそうなのかい?」


「えぇ、これが機械でございます」


「そうか」


社長は機械をじろじろと見つめる。


「少し触って見てもいいかね?」


「えぇ、社長」


社長は機械を持つ。


「こりゃまたずいぶんと軽いな」


「えぇ、中には小型チップしか入っておりません」


「そうなのか。そして、その横にあるのがこの機械の説明書なのか?」


お次に社長は隣にある説明書を見る。


「こりゃまたずいぶんと分かりにくいなぁ」


「えぇ、この説明書は専門員でないと読めません」


「そうか、まぁいい、わかった。これは実際に困っている人を助けたり、あるいは幸せに出来るんだね?」


「はい。もちろんですとも。使い方はその説明書に書いてありますので、後で専門員にでも見せれば読み解くでしょう」


「そうか。ならいい。じゃあ、いまから支払いの紙を出すから君は印鑑を持ってきてくれ」


「はい、分かりました」


そう言って俺は隣の部屋へ行く。

すると、社長がいる部屋から音がした。


カダン! ドドドドドドっ!


やっぱりか、と思い俺は隣の部屋へ行く。

隣の部屋にはもちろん社長の姿がない。

そして、機械もなければ説明書もない。

どうやら社長が盗んでいったようだ。


――思った通りだ。


そしてその数十秒後、玄関先で、


ズドンっ!


大きな音がした。

どうやら、俺が開発した機械が作動したようだ。

俺はゆっくりと歩いて玄関先に向かうと。

「すまん助けてくれ! いきなり床が抜けて出て来れないんだ」


「えぇ、床が抜けましたね社長」


俺は社長を穴の上からニコニコと笑いながら見る。


「早く助けてくれ!」


「まあまあ、社長落ち着いてください。社長は私にこう依頼しましたよね。困った人を助ける、あるいは幸せにする機械を作れと」


「どういうことだ……」


「そこで私は開発したのです。この機械を盗んだ人が玄関から出ると機械に入っている小型チップが反応して床が抜ける機械をね」


「な、何をしたか分かっているのかね君!」


「社長こそ、何をしているのか分かっておいでですか? あなたは報酬も払わずに機械を盗もうとした。いまあなたがここに落ちているのが何よりの証拠です」


「報酬なら払う。だから、早く出してくれ。」


「社長、いまあなたはどんな立場にいると思っているんですか? 私がこの証拠を警察に届ければあなたは捕まるんですよ?」


「じゃあどうしたら!」


「えぇ、ならば今からあなたの会社を私のものにしていただきたい」


「な、何を言う君……」


「社長、いまあなたに拒否権はありませんよ。それとも会社と共にあなたは地獄に落ちたいんですか?」


「わ、わかった。なら今から秘書の西森に電話する。だから私を引き上げてくれ!」


「ありがとうございます。では早く電話をして私を社長にする手続きをしてください」


「くっそ……分かったよもう」


その後、社長は秘書の西森に俺を社長にする手続きを済ませ、科学者である俺は社長になり。そして、俺は社長を警察に突き出し。アイディアを盗まれた人にも報酬が行き。


困った人を助ける、あるいは幸せにする機械が完成した。

以上、一読ありがとうございます。


不定期で更新するので、暇なときにでも『風晴樹』を検索してもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] きちんとまとまっている。 文章も読みやすい。 星新一が現代風にショートショートを書いたらこんな感じだと思う。 [気になる点] オチがちょっと無理矢理さを感じました。
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