【ソーセージ mari & mari】 #21 〜みずたまり、落雷の日のこんな思い出
【みずたまり、落雷の日のこんな思い出】
みずたまり、10歳。
雨がパシパシと教室のガラス窓を叩いた。風で窓がキシキシと
鳴っていた。
みずたまりは、窓枠に両腕をかけ雨雲で暗くなった外の景色を
ながめていた。
「あっ、光った!」
遠くの雲がパッと明るくなったのだ。
だが、
「あれ、ゴロゴロって鳴らない。
まだかな、いつだろいつだろ」
怖い音が来る、来る。
そう思い、体をこわばらせ構えているのだがまだ鳴らない。
変な間ができたせいか、迷いだしてしまった。
「あれ、怖いのってホントはどっちだっけ。
光った時? 鳴ったとき?
叫んでいいのっていつ? 」
一度気持ちがグラグラし始めたらなぜか収まらなくなってしまった。
怖がるタイミングがわからなくなり、急に不安な気持ちが
襲ってきて泣き出してしまった。
「ああーんっ、どおしよどおしよ、どーしたらいいの⁈」
「いいのよ、まりちゃん無理して怖がらなくても気が向いたらで。
カミナリが怖くなったら怖がればいいのよ」
先生に変な慰めをもらったものの、
本当は、子供らしく素直に怖がりたかったみずたまりであった。