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『おにいたま』の方向で

作者: 紫苑 奏

ビックボーイよりトマト&オニオン


作者はサラダバーで永遠フルーツ食ってる派です。


 困っている。非常に困っている。


 うたれた頬が痛い。

目の前の少女、に見える女性と呼ぶべき年齢のかわいらしい人は小さな手を振り下ろした形で停止させている。

眉を吊り上げ、大きな眼をうるませ、口をへの字に曲げていた。どうも睨んでるつもりらしいが全く怖くない。


 少し前の事を思い出すと、私は友人(男、仮)と楽しくもないティータイムを楽しんでいたはずだ。

ちなみに彼の名誉のために言わせてもらうと、(仮)となっているが(仮)なのは友人と言う部分で、

男(仮)ということではない。とにかく、私は友人(仮)と二人でファミレスに居た。




 現在地も大学近くのファミレスであることには変わりないのだが、一つだけ大きく変わったことがある、

私の前には三人の男女がいた。


 これは……どういうことなのか…

いかんいかん、美少女にビンタされるという貴重な体験をしたせいで私は非常に混乱しているようだ、

おちついて、もう少し前の事に目を向けてみることにしよう。


 彼女とケンカした、仲直りしたいから相談に乗ってくれ。

と、友人(仮)が言ってきたのは今から二日ほど前の事だ。

「くそリア充が、そういうことはリア充実A、Bに聞け」と返していたのだが、

あまりにもしつこく頼ってくるので、ファミレスのハンバーグ定食で手を打つことにした。

飯食ってちょうど食後のティータイムを楽しんでいたところだった。

店に美しいかんばせの男女が入ってきて、女性の方が何を思ったか急に往復びんたかましてきた次第だ。

 


恐らくこの女性が友人(仮(いちいち仮って打つのめんどくさくなってきた。))のカノジョ,とやらだろう。


カノジョの後ろに居る男性はどうやら彼女の連れらしい。

おい、友人(仮)なんか面倒なことになってんぞ。


カラン、グラスの中の氷が音を立てた。


私たち四人の間には重苦しい空気が流れていた。

沈黙を破ったのは私。


「親父にもぶたれたことないのに(ウラ声)」

ありゃ、面白くなかった?


「ふっふざけないでよ。誰よアンタ!」


「落ち着け深津美。誤解だ、聞いてくれ」

おーおー少年、そのセリフはもっと早く聞きたかったなあ。

今度パフェおごれよこら。


「何が誤解なのよ。私見たんだから!」

「だから誤解だって――おい!誰だその男は」

「べつに誰でもいいじゃない!あなただって…」

「よくない!」

「なによ!」


……何だろうなこの状況。もし神様がいるなら今すぐ私をお救いください。やべ、鼻血出てきた。ずずっ。あれ、鼻血って吸っちゃいけないんだっけ。うわっ苦!つーか鉄くせ!最悪…口の中がドメスティックバイオレンスやー・・・へ、へるぷみー、ヘルプミー、ヘルペスミー


「全くです。何なんでしょうねこの状況は」

そういって目の前のイケメソはハンカチを差し出した。

「あれ、今私喋ってました?」


「ええ、結構ダダもれでした」

「・・・。(うそーん)」


「・・・『親父にも打たれたことないのに』は、けっこうツボでした」

「え、あ?本当ですか」


「ええ、あの場面であんなことを言う女性は初めて見ました」

「あ、そっち?そっちにいっちゃう系ですか。私てっきりガ○ダムさんに興味のある方だとおもいまs」

「お互い似たような身の上ですし、不幸中の幸いに出逢った同士だと思っています。」



「あれぇ。シカトゥ?ガン○ムさんはスルーな方向ですか?あれ、スルーは私の方か、

ガ○ダムさんの方?あるぇ聞いてる?おにぃーーさーん!」


「どうですか僕とお茶にでも行きませんか」

「なんで、そぅなるの!」

「おいしいパフェの出るお店を知ってるんですよ~」

「あれ、そのへんからダダもれでしたか?!ダダダダーーン」


「さて行きますか」

またスルーの方向で……あれ行く?何処に?


「え、ちょ、ま、待ってください」

彼は私の腕をつかみそのまま席を立ってしまった。


「ちょ、待って、待ってくださいお兄さ……フブゥ!」

彼が急に止まるものだから思いっきりぶつかってしまった…変な声出ちゃったぞちくしょー

振り向いた彼は、それはそれは素敵な笑顔で言いました……


「そこは、『おにいたま』の方向で」

なぜ、彼が友人(仮)であるかは、

説明に本文以上の文字数を費やすため省かせて頂きました。

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