考え方を変える(頑固にこれは一番正しいと思い込んでいた時)
考え方を変える(頑固にこれは一番正しいと思い込んでいた時)
考え方を変える(頑固にこれは一番正しいと思い込んでいた時)
秋の冷んやりとした朝の光が、ピカピカにお掃除されたハルトの部屋の窓から差し込んでいた
ハルトはいつものように、このあたりで一番高い木を見上げながら、深く、深く深呼吸を繰り返していた
「すう……はあ……。よし、今日も一日、真面目に家事をがんばろう!」
我が家に伝わる鉄の家訓は、体調の良し悪しに関わらず、日々の務めを果たすことを厳格に求めている
ハルトはその教えに従い、溜まっていたお洗濯を全問パーフェクトに回し終えたところだった
「やっぱり、お洗濯ものは太陽の光をたっぷり浴びせて、外のベランダでカラッと乾かすのが一番気持ちいいに決まっているよね」
それが、これまでのハルトの絶対的なこだわり(マニュアル)であり、お日様の光こそが最高のセーフティーネットだと信じて疑わなかった。しかし、その日は外の曇り空を気に病んだソラから、それとなくひとつの新しい提案があったのだ
「ハルトくん、今日は試しに、あの最新の洗濯機の『乾燥機能(乾燥モード)』を使って一気に乾かしてみたら? 時間の節約にもなるし、とっても便利よ」
お仕事の場所を清潔にするのと同じ手際よさで、ハルトは半信半疑のまま、からくり乾燥のスイッチをカチッと入れた
数時間後
シュシュと心地よい風の音を立てていた洗濯機が止まり、ハルトは出来上がった衣類の山を取り出した。そして、お部屋のソファに腰掛け、のんびりとその洗濯ものを一枚一枚たたんでいるとき、彼の体に大きな衝撃(コペルニクス的転換)が走ったのである
「うわぁ……! なんだ、この柔らかさは……!」
外干しの少しパリッとした乾き具合とはまるで違う。洗濯機の乾燥機能で乾かした服の方は、まるで春のお日様が部屋の中に昇ったかのように、芯までぽかぽかと暖かくて、驚くほどみずみずしく、極上の気持ちよさに満ち溢れていたのだ
ハルトはたたんでいる途中の、ホカホカと湯気が立ち上りそうな温かいシャツを、我慢できずにその場ですうっと肌に纏ってみた
その出来たてのぬくもりが全身を包み込んだ瞬間、ハルトの頭のねじはぽかぽかと心地よく締まり直していった
(いまこれ着たら……僕の中の古い頑固な引き出しを、新しく変えなくちゃいけないな。外干しだけが正解だなんていう昔の思い込みは完全に『お断り』だ。最新のテクノロジーを素直に心得て、新しい日常生活の楽しさを取り戻していくことこそが、本当に健やかで光あふれる未来の道なんだ)
ハルトが温かいお洋服に包まれながら、大真面目な顔で「考え方を新しく変えなくちゃいけない」と哲学しているカタブツな様子を見て、隣で温かいジャスミン茶を淹れていたソラが、お腹を抱えて「ウフフ、あははは!」と大爆笑し始めた
「ハルトくん、お洋服一枚に包まれただけで、そんなに背筋をしゃんと真っ直ぐに伸ばして感動してるの!? 本当に何を見ても楽しくなっちゃう天天真爛漫な人ね!」
さらに、窓の外からそのホカホカな大逆転を覗き見していた旧友のケンジやキヨコたちからも、「ハルトの奴、乾燥機のぬくもりに完全敗北してやがるぜ! わっはっはっ!」と豪快で大きな地地響きのような笑い声が湧き起こり、お家の中は一気に笑いの絶えないハッピーエンドの空気で満たされた
「みんな、笑わないでおくれよ! でも……本当に、この暖かさは世界一の宝物(国宝級)だよ!」
ハルトが声を大にして笑うと、お部屋の隅々まで最高のぬくもりが広がっていきました
夜になり、我が地で一番清潔に保たれた湯殿で新湯にゆっくりと浸かり、電気毛布のいらないくらいホカホカに乾いたパジャマを着て寝具にもぐり込む頃、窓の外には驚くほど大きくて綺麗な満月がぽっかりと浮かび上がり、新しい考え方を見つけて最高の笑顔で眠るハルトの未来を、いつまでもぽかぽかと温かく、優しく照らし続けるのであった
考え方を変える(頑固にこれは一番正しいと思い込んでいた時)




