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学園part:新たな出会い

私はアサ・ヒューバート。


このお話の主人公です。

私の家系は侯爵家で、親は貴族すぎるくらい貴族の価値観が強く、庶民は汚らしい存在だとよく言っている。


親は私のことが好きじゃないらしくて、あんまり愛されてこなかったなぁ…。


私は今16歳。

学園は17歳で卒業だから、その歳で結婚する人が多くいて、私もその予定。


だけど、その相手が問題で…自分よりも50歳も年上で、父親と同じくらいの歳なの。


だから、この学園生活の1年の間で私を買ってくれる婚約者を探さないと…!



場面は切り替わり、学園での中庭…


公爵家という地位に目が眩んだ女子生徒が、ナギへと擦り寄る。

ナギは面倒くさそうに、話しかけてくる生徒を振り払い、バルコニーの方へと目を向けた。


「イコ…!?」


そこには、死んだはずのイコがこの学園の制服を着て、佇んでいる様子が見えた。

ナギは女子生徒を押しのけ、急いでバルコニーの方へと向かう。


「ハァ、ハァ…」


走ってきたにも関わらず、イコは何処かに行ってしまったようで、そこには誰もいなかった。


「…いるわけ、ないよな」


ナギは未だにイコの亡霊を探してしまっている自分を惨めに思いながらも、それを変えることは出来ないだろうとわかっていた。


あの日、イコがナギを売った日。

あの日は、皮肉にもイコと出会った日のように大雨が降り注いでいた。


ナギが依頼から戻ったとき、珍しくイコが協会に居なかった。

探しに行こうと外に出ると、イコが衛兵を連れてやって来たのだ。

それも、ナギが公爵家の息子だと言って。

行方不明となっていた公爵家の少年が、路地裏で暗殺を仕事として生計を立てていたのだ。


「…彼が、公爵家の息子です」


イコは何も映さない瞳で、淡々と述べた。

ナギは驚くばかりで逃げようとすることもなく、衛兵に連れていかれた。ずっとイコを見ていたのだ。

しかし、イコはナギに一瞥もくれず、正面をじっと見つめていた。


その後、ナギは公爵家の母親、父親と思われる人物の前へと連れていかれ、その家系にしか現れない銀色の瞳を持っていたことから、その家族として認められたのだった。


イコはというと、貴族の息子に対し、片目を奪い、怪我を負わせたという理由から、処刑されることになってしまった。


ナギは懸命にイコを殺さないように頼み込んだが、両親の決意は固く、怪我をさせたからという理由のみで処刑を行うのではないのだろうとわかってしまった。

恐らく、ナギの薄汚れた少年時代を知っている人物を、抹殺しようとしているのだと。


イコは数日後、残虐にもナギの目の前で処刑された。

イコはナギを売ったときと同じ、何も映さない瞳で、逃げようとも、反発しようともせず、ただじっとしたまま…そのまま殺されてしまった。


ナギは6年経った今でも、イコの亡霊が脳裏から離れず、イコのことを殺してしまった両親に対し、恨みを募らせていたのだった。


ナギはバルコニーの柵に片肘をついて、ため息をついた。


「いつまで俺は…あいつに振り回されるんだろうな」


ナギは夕日を見つめながら、眼帯に触れる。

無くなってしまった片目は、未だにどこにあるのか分からず、治療もすることが出来なかった。

この傷は一生消えることは無いだろう。


「イコ…」


イコに似た人物は、本当に人であったのか、それともナギの妄想から現れたイコであったのか…

もう一度会うことができるのなら、次は必ず捕まえると不敵に笑った。



アサが、一人で昼食を食べていたときのことだった。

どこからか、言い争う声が聞こえる。


「…っなた!…に…ないの!?」


どうやら、保健室の方から聞こえるようで、窓からこっそりと覗く。

どうやら、この国の第3王子である、ピューリア王子と、その婚約者である、アルマ様だったようだ。


「…そんなだから!国王陛下はあなたを気にもとめないのよ!」


アルマ様はそう言うと、保健室の扉をバンッと閉めて、どこかへいってしまった。


「…あ〜あ、いけないんだ」


アルマ様に気を取られていると、上から声を掛けられる。

見ると、ピューリア王子がこちらに気がついたようだった。


「覗き見してたの〜?」


王子はヘラヘラと笑いながら、アサの頭にポンっと手を置く。


「ち、違いますっ!…すみませんでしたー!」


アサは逃げようとするが、王子に服の裾を捕まれ、逃げられなくなってしまった。


「ねぇ〜、聞いてよ。アルマってばさ〜、俺がだめだめだって言うんだよぉ。俺だって頑張ってるのに〜。それに、俺に陛下になれだって〜無理だよぉ」


王子は気だるそうに文句を言っている。

2人の仲があまり良くないのは周知の事実で、しっかり者で、高みを目指すアルマ様と、のんびり屋のピューリア王子では、あまり話が合わないようなのだ。


「ねぇねぇ、どう思う〜?」


アサはこんな話を聞いていいのだろうかと難しい顔をしながら、アルマ様を援護することにした。


「アルマ様は、王子であるあなた様のことを心配しているのだと思います。アルマ様はしっかりしている方なので…」


「ふ〜ん」


ピューリア王子は、片眉を上げてニヤリと笑い、面白いと言わんばかりの顔をした。


「そっか〜、心配ねぇ」


王子はニヤニヤしながら、掴んでいた裾を離した。

そのまま、ヒラヒラと手を振りながら、保健室の扉へと向かい、どこかへ行ってしまった。


「な、なんだったんだろう…」


アサは戸惑いながらも、元の場所に戻り、昼食を再開した。


「それにしても…婚約者、かぁ」


アサはピンク色の長い髪を靡かせながら、自分の結婚する相手のことをボンヤリと考えるのであった。

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