表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四季の匂い  作者: ギアス
11/13

第11章 代償

 冬の気配が色濃くなった十二月。俺は、仕事でミスをしたキャストを、事務所で怒鳴りつけていた。俺の荒れ様は、もはや誰にも止められない。

「いい加減にしろ、直樹!」

涼おじさんの怒声が飛ぶ。

「お前、最近おかしいぞ! 自分のことばっかりで、周りが見えてない! 絢子ちゃんだって、最近顔色が悪いじゃないか。お前、気づいてないのか!」

絢子…?

その名前に、俺の心臓が嫌な音を立てて軋む。そうだ、言われてみれば、最近の彼女は不自然なほど痩せて、目の下にはいつも隈ができていた。俺は、自分の苦しみに溺れるあまり、一番大切だったはずの人間の、すぐそばで上がっていた悲鳴に、耳を塞いでいたのだ。

何か言わなければ。謝らなければ。もう一度、話をしなければ。

焦燥感に駆られた俺は、その日の仕事終わり、絢子を待った。しかし、いくら待っても彼女は事務所に戻ってこない。胸騒ぎが、どんどん大きくなっていく。

その時だった。店の電話が、けたたましく鳴り響いた。涼おじさんが取った受話器の向こうから聞こえてくる断片的な言葉。

「…女性が刺され…病院に…はい、石本、絢子…」

頭が、真っ白になった。

-----ハッ------




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ