第8話「出走」
グループ分けされ、第8グループ目の塊の中で待機する。
前には他校のBRZ。後ろにもランサーエボリューション。
スポーツカーたちが大量に集まっている。
「すごいな。高校生でスポーツカー乗れるなんて。」
『無線チェック、無線チェック。秋原です。聞こえる?夏空くん?』
「え、無線どうやって返すんだ?」
コックピット内でオドオドする。
『ハンドルの赤のスイッチを押してみて。』
「あ、これか」
スイッチを押す。
「聞こえますか?」
『聞こえるよー。無線は大丈夫そうだね。これから無線で他車との位置関係とか教えていくね』
「わかりました」
《第8グループ!全車、コースオープンです!コースイン開始してください!》
『さぁ、コースインだ!前のに続いて』
「了解です」
第8グループのマシンたちが美浜サーキットにコースインしていく。
「とりあえずコースインしたら1周はタイヤを温めることに集中…」
赤い愛豊高校の86が左右にマシンを揺らす。
これでタイヤを温めるのだ。
『次の周、前のBRZが計測に入るよ。だから、3周目にうちは計測開始、よろしく』
「了解」
前を走るBRZが加速していく。
残りの4台は列車のように列になって走行していく。
『BRZのランプが赤になった。夏空くん、ステアリングの緑のボタンを押して。それで計測開始の扱いになる』
「緑のスイッチですね?」
『そうだ』
「押しました」
『OK、こっちのモニターでも計測開始になった。こっからは全力だよ!』
「行きます!」
一気にアクセルを踏み込む。
1つずつ、着実にコーナーを抜け、進む。
ピットではメンバーたちが驚いていた。
「!?あ、秋原先生!こ、これ!」あかりがモニターを指差す。
「あ!?これって、まじかよ!?」
「まじで!?」
「ほんまでっか?!」
モニターには区間最速タイムを意味する紫色の文字でセクタータイムが表示されていた。
「これって、最速ってことですよね?」
「あぁ…まだ、前で1台しか計測していないってのもあるが…それだとしても、この時点で最速タイムって…」
「彼、相当のバケモンかもですね」
「そうだな…」
ピピッ、ピピッ
「なにかの警告?」
その音の方をチラッと見ると小型のモニターが青に光っていた。
『後続のランサーが計測に入った、一度計測をやめてランサーに進路を譲って。計測停止のときも緑のスイッチを押してね』
「了解です」
86が右ウインカーを出し、進路を譲る。
『次の周、また計測開始で行こう』
「わかりました」
一度、落ち着く時間が訪れたと思って、そのタイミングで調整できることを調整していく。