第7話「準備」
「おはようございます!」
「「「おはようございます!!」」」
「えっと、今日は新体制となって初めての大会。ただ、特別なことは考えず、やれることをやっていきましょう」
「そして、今大会からはドライバーは私から夏空くんに変更となります。お願いします。」
「では、出走まで調整を進めていきましょう。」
「おはよう、夏空くん」
「あ、部長、おはようございます」
「レーシングスーツ似合ってるじゃない。」
「えへへ。ありがとうございます!」
「一応この大会のルールだけ教えておくね」
「お願いします!」
「まず、計測は3周。5台ずつのグループでコースイン。そして、1周ずつずらしてタイム計測。タイムアタックしてるかは車両前後のランプでわかる。赤だったら計測してない、緑だったら計測中。」
「それで、その計測中の車両は追い抜き禁止ですよね」
「そう。計測中の車両を抜いてしまうとペナルティで一番速いタイムが抹消されてしまう。」
「それで、最後に、3周の計測が終了したら、ただちにピットインすること。まだいいタイム出せる、って思って走り続けないように。」
「これを無視すると、全タイムが抹消ですよね」
「よく覚えてるじゃない。」
「ドライバーとして、レギュレーションはしっかり理解しておこうって。」
「いいじゃない。じゃあ、このあとの計測頑張ってね。出走するのは8グループ目。」
「わかりました。」
「このクラスで一番強いのは菱三津高校。車両はシビックのFL5。この車の結果だけ見ていこう。」
「わかりました。」
「でも、菱三津高校は私達の後の出走になるから走りも外から見れるね。」
「なら、走りから学べることもありそうです。」
「そうだね。さぁ、準備しよう。」
86のエンジンに火が入る。
あかりがボンネットを開け、エンジンを覗き込みながら指示を出す。
「いいよー!回転数上げてー!」
運転席に座る龍星がアクセルを踏み込んでいく。
「OKー!異音なし!オイル類の漏れもなし!エンジン切っていいよー」
「よし、夏空くん、準備できたよ。乗り込んで。スタートエリアまでは私達が押していくから」
「え、俺も押しますよ」
「いや!夏空くんはドライバーなんだから。無駄に体力使わないの!」
「わ、わかりました」
「じゃあ、いくよー」
愛豊高校のメカニックたちが86をピットエリアから押しながら進める。
「車両通りまーす!」
他の学校も同様にスタートエリアまで移動していた。
「OK!」
86が止まる。
「走らせ方は昨日伝えた通りね。」
「了解」
スタートエリアの中で車検台に誘導される。
「エントリーナンバー192番!愛豊高校は車検エリアに進んでください!」
ここで車重、車高、車幅などが一気にチェックされる。
車検が終わり、合格証が渡される。
「この証明書をダッシュボードに置いてくださいね。」
「わかりました。」
渡されたものをダッシュボードに置く。