第30話「表彰式」
2人が乗った86がピットエリアまで戻ってくる。
みんなが拍手で迎えてくれる。
「ありがとうな。」
金堂が先にマシンを降り、メンバーたちのもとへと向かった。
夏空は諸々の操作を終え、エンジンを切り、マシンを降りる。
「よっしゃあ!」
ガッツポーズを見せる。
そして、愛豊高校の仲間たちのもとへと飛び込む。
「よくやったぁ!」
「勝ったぞー!!」
「おめでとうー!」
みんなが祝福の言葉をかけてくれる。
そして、あかりからも祝福の言葉をもらう。
「夏空くん、おめでとう。」
「部長、やりましたよ。日本一!」
「うん、夏空くんやっぱすごいよ…!」
あかりの目には涙が浮かんでいた。
表彰式が始まり、まずはドライバーだけでのセレモニーが始まる。
日本一の証であるトロフィーが渡される。
「重っ…」
でも、そのトロフィーを高く掲げる。
拍手が上がる。
そして、炭酸水でのスパーリングファイトが始まる。
そして、チームのメンバーたちも表彰台に上がる。
全員で今日の日にちが入ったサインボードを掲げて集合写真を撮った。
表彰式も終わり、撤収作業が始まる。
「ほんとに私達日本一取ったんだね…」
「みたいっすね…」
トロフィーを見ながら呟く。
あかりと夏空はまだ少し信じられていないようだった。
その時、福原先生が声をかけてくる。
「ふたりとも、ちょっといいかな?」
「いいすよ」
「大丈夫ですよ」
2人はトランスポーターの前に行く。
「日本一取った明るい雰囲気を壊すようで申し訳ないんだけど、実はさっき、秋原先生が県内の病院で亡くなったそうよ。」
「…」
「そんな…」
「でも、きっと向こうから見ててくれてますよ。秋原先生も」
夏空は秋が近づいた夕焼けの空を見上げる。




