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第28話「盲目」

県内の病院。

秋原の病室は中継を見ている場合ではなかった。

彼の容態が急変したのだ。

様々な医療機器が部屋に運び込まれる。


ごめんね…天才ゲーマーの走りを最後まで見届けられなくて…

そう心の中でつぶやきながら涙を流していた。



彼を担当した医師はすべてを悟った。

「延命措置を停止。もう。もう…」

医師の先では目を閉じたままの秋原がいた。



なんでだろう。何も見えない。何も聞こえない。中継を見たくても見れない。

あ、もしかして、俺死んだのか。

ごめんね、颯。日本一を見届けられなくて。





鈴鹿サーキット。

真っ赤な愛豊高校のMC86が、鈴桜高校との1秒のタイム差を詰めるために全セクター最速タイムを記録しながら駆け抜ける。



その時、隣のピットである鈴桜高校の顧問らしき人がアタック開始との指示を出していた。


「え、このタイミングで…?」

あかりは駆け足でピットに戻る。


「うちと鈴桜の位置は?」

「今、うちは連続S字で、鈴桜はホームストレートです。」

「この差だと、鈴桜が追いつく可能性も出てきたよ…」

「ヘッドセット貸して」



『夏空くん、聞こえる?』

「はい!」

『今、鈴桜がアタックに入った!このままだと、鈴桜に追いつかれる可能性が出てきた!だから、もう少し、もう少しでいいから攻めて!相手の動揺を誘う!』

「了解!」




「あとはこれでどうなるか…」


サーキットを映し出すモニターが突然真っ黒になる。

「え!サーキットの情報入ってこないじゃない!」


「2台の場所は!?」

「駄目です!その信号もロスト!」

「でも、タイマーだけは生きてる。」



〈あー!クラッシュ発生!〉


「!?!?!?」

心拍数が一気に跳ね上がる。

聞きたくなかったワードが場内実況で聞こえてくる。


ただ、2台の差があったことからクラッシュしたのは1台。確実に1台は戻って来る。


2校の部員たちがピットサイドに駆け出す。


「…お願い…夏空くん…」


最終コーナーを加速してきたのは……












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