28/33
第27話「復活の狼煙」
鈴桜との決着がつくまであと2周。
鈴桜との差はすでに1秒ほど。
「ここまでか…」
データが表示されたモニターの前で絶望するエンジニア担当の生徒と部長。
「くっそっ…!」
颯もステアリングを叩く。
そこで部長は異常に気づいた。
「何をやってるの…?夏空くん…」
そのモニターに表示されていたのはパドルシフトのアップをずっと連打し続けるデータだった。
「直れッ…直れッってんだ、このポンコツ…!」
夏空はヤケクソにギアを上げ続けた。
その時だった。
車内に響くトランスミッションの音が変わった。
「…!?」
メーターを確認するとそこには「2」の文字が。
「直った…!直ったよ!」
石原は思わずエンジニア担当の肩を強く叩く。
「奇跡だ…」百音も驚いていた。
直ったのは15時32分。
その時間を夏空は車内に搭載された時計で確認していた。
無線のスイッチを押す。
「部長!こっから全開で、限界まで攻めます!クルマ壊したらごめんなさい!」
『いいよ!すべて、今まで積み上げてきたものぶつけてきな!』
「了解!」
颯はKERSのスイッチを押し、コーナー脱出の速度を稼ぐ。
「さぁ、勝負はここからだッ…」




