第1話「廃部」
「えー、ですから、学校の運営予算の3分の1もの予算を使う自動車競技部は不要ということです。」
「なぜです!この部活は、日本のものづくりの将来を担っているものなんですよ!」
他の教師たちもざわついていた。
「えー、では多数決をとらせていただこうと思います。これで過半数以上が挙手した場合、即刻、自動車競技部は廃部とさせていただきま…」
「待ってください!じゃあ、こうしましょう!」
「秋原先生、なんです?」
「今年もインターハイ自動車競技部門があります!そこで、そこで日本一を獲得したら、来年も続けさせてください!」
「…仕方ないですね。ではその条件のもと、活動継続を許可します。まぁ、どうせできないでしょうけど。」
自分の名前は秋原拓巳。この愛豊高校の自動車競技部の顧問だ。
職員会議が終わり、自分の席に戻る。
「あぁ〜…なんてこと言っちゃったんだろう…」
両手で顔を覆う。
「まぁ、秋原先生、元気だしてくださいよ。はい、コーヒーです。」
「…あ、ありがとう。」
そう声をかけてきたのは自動車競技部の副顧問である福原葵だ。
「でも、校長たちもひどいですよね。いきなり自動車競技部を廃部にするなんて。」
「まぁ仕方ないことだと思うよ。インターハイ最後に行けたの7年前だしな。」
「7年前って、創部の年じゃないですか。」
「そう。部活立ち上げて1年目はまだあまり、愛知でもこれに出る高校なかったから行けたんだがな…」
「だんだん年が進むにつれてハイレベルな高校、特に私立高校が出てきてな。」
「私立はお金豊富にありますからね。たくさん資金投資ができる。」
「ただ、俺達も私立だけど、小規模な高校だからな。資金も限られてくる。」
「結果、愛知も代表権獲得してるのはほとんど大きな私立高校だ。」
「ルールがあるとはいえ、資金とかの差でクルマの性能とか差が少しできますもんね。」
「その少しの差が結構最後は大きいものになるんだ。」
「「はぁ〜」」
2人して大きなため息をつく。
「今年も生徒は結構来たからな。自動車競技部に入ってくれる子がたくさん来ることを願うよ。」
その頃、この愛豊高校で自動車競技部を目指すドライバーがいた。