第15話「確認」
再び、美浜サーキット。
「まさか、僕達もこのマシンたちに並んで整備することになるなんて、信じられないですよ」
GT3車両などに囲まれながら整備する飛鳥がそう話す。
「ほんとだよね。ちょっと前までは一番下のクラスで最下位争いしてたチームなんだから」
この愛豊高校がAT-1クラスからAT-Xクラスに参戦クラスを変更したことは県内で話題になっていた。
朝のミーティングが始まる。
「おはようございます!えー、今日からインターハイ自動車競技部門県予選が始まります。」
「本日やることとしては、セッティングの確定、シートポジションなどの調整ですね。とにかくそこを重点的に進めていきましょう。今日もよろしくお願いします!」
「「オネシャス!」」
「あ、夏空、ちょっといいか?」
「なんですか?秋原先生。」
「今回からAT-Xクラスに出ることになったからな、新しいライバルを教えておこうって」
「どのクルマですか?」
「あの、メタリックレッドとブラックのツートンカラーのGTR。産浜高校だ。あそこはここ5年くらいは県代表としてインターハイにも東海タイムアタックにも行ってる。」
「とりあえず、あのクルマを超えればいいんですね」
「早い話、そういうことだ。」
「ちなみにだが、産浜のGTRにはスクランブルブーストっていう一定時間だけターボに通常より高いブースト圧をかけれるシステムを使ってる。」
「了解です。」
産浜高校ピット。
「驚きましたね、篠宮さん。愛豊高校のクラス変更」
「本当ですね。でも、倒すべき相手が1人増えただけですよ。」
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「…萩原夏空…倒してやる…」
篠宮和也。
産浜高校のエースドライバー。過去2年、県内1位でインターハイなどに進出しているドライバー。
彼ら2人の対決は過去類を見ないほど白熱する。




