第14話「訓練」
「マシンも完成したし、エンジンも無事、オリジナルカスタムのEJ20が搭載できた。」
「そこでだ、この86でインターハイに出場するが、もしものことを想定して、訓練をしようと思う。」
「せんせー、どんな訓練するんですかー」
「いい質問だ!わかりやすく言えば、夏空の脱出訓練、メカニックたちのパーツ交換訓練だ」
「なるほどー」
「よし、夏空はレーシングスーツ、ヘルメットに着替えてきなさい。他のメンバーたちは工具を準備しておくように」
「はーい」
「よし、準備できたな。まずは夏空の脱出訓練から。車両火災のときなどは即座に脱出できるかが鍵になってくる。運転席側への脱出は4秒、助手席側への脱出は6秒としてやってみよう。」
夏空がマシンに乗り込む。
「よーし、じゃあ、いくよー。」
秋原が3カウントを指で表したあと、笛が鳴る。
それを脱出開始の合図に勢いよく脱出する。
「はい、3.6秒、合格!」
「やった!」
「じゃあ、次は助手席側への脱出。3,2,1GO!」
助手席側ということで少々脱出に手こずる。
「っしょと」
脱出完了。
「OK、5.3秒。上出来だ!」
「あざっす!」
「よし、脱出訓練ができたから次はパーツの交換想定だ。まずはタイヤから行こう。」
「せんせー!これ、5本のネジでホイール留まってないないでーす、センターロックホイールのインパクトレンチは持ってませーん!」
「それもこのパーツくれたチームにお願いしてもらってきた。」
「よーし、レンチも持ったな?」
「持ちましたー」
「持ってまーす」
「ちゃんと動きまーす!」
「よーし、じゃあ、まずは龍星がいる、右リアタイヤがパンクしたとしてやってみよう」
「ちなみにだが、全日本ではタイヤ交換に参加できる人数は2名までと決まっているから、まずは龍星と飛鳥でやってみよう」
「「はーい」」
「じゃあ、いくよー」
「よーい、はい!」
龍星がホイールナットにレンチを当て、ロックを外す。
「よし、外れた。」
タイヤを外し、新しいタイヤをはめる。
「よし」
手を上げ、完了を知らせる。
「うん、12秒。これなら修復作業規定時間には当たらないね。」
「何秒なんですか?」
「40秒」
「短いような、長いようなですね」
「まぁ、もし本番何かあってもこれだけ早ければ大丈夫だよ。」
彼らの目標は優勝。
チームはインターハイ予選へと向かう。




