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女王様の恋愛捜査網

女王様の恋愛捜査網3~偽りの自由に揺れる貴族令嬢たち~

作者: 百鬼清風

華やかな社交界の裏で密かに蠢く、貴族令嬢たちによる“婚約破棄ブーム”。

恋愛を理由に縁談を断つ動きが広がるなか、次々と破棄される婚約、崩れていく名家同士の関係、その影には、一人の貴婦人の言葉に感化された令嬢たちの連携があった。


事件の調査を任されたのは、恋愛スキャンダルを専門とする諜報チーム「恋愛捜査網」。

リーダー・クレストを中心に、寡黙な分析官ライア、潜入の名手ミレディ、行動派のダルビッシュたちが、噂と虚実が入り乱れる迷宮に挑む。


自由を求めた少女たちは本当に被害者なのか?

そして、彼女たちを動かした“観察者”の正体とは?


真実を追い、恋の名のもとに張り巡らされた策略を暴く。

それが彼らの使命。


王宮では、女王イデアと三人の王女たちがクレストの報告を優雅に聞きながら、社交界の新たな騒動に微笑を浮かべる。

恋と陰謀の交差点、再び。

 それは、晩春の穏やかな昼下がりのことだった。

 公爵家の令嬢が、侍女とともに社交界を去るという噂が、花の都を駆け巡ったのは。


 宮廷内の一室――噂話専用と化した小広間では、今日もまた麗しき四人の貴婦人たちが、くすくすと笑いを交えながら言葉を交わしていた。


「それで、その“赤の令嬢”というのは、どこの誰なのかしら?」


 女王イデアは、翡翠色の扇子で口元を隠しながら、金の髪を揺らして笑った。


「おそらく、マリベル・ルージュ嬢ですわ。デュラン公爵家の令嬢。彼女の赤毛は社交界でも有名ですもの」


 カトリーヌ王女が答えると、エリザ王女がすかさず続けた。


「マリベル嬢、婚約話が出ていたはずよね。誰だったかしら……」


「侯爵家の三男、ロベール・ヴィオロンですわ。若くして軍務についた、あの誠実そうな青年」


 ソフィア王女が記憶をたどるように呟いた。


「それがなぜ、侍女と一緒に姿を消すことになるのかしらねぇ。まさか駆け落ち?」


 イデアがくすりと笑う。


「ふふ、それを確かめるのが――彼の役目、ですわね」


 エリザが言い、他の三人もうなずく。


 やがて、扉の向こうから控えめなノックの音が響く。


「失礼いたします。クレストにございます」


 黒衣の男が部屋に入ると、イデアは優雅に手を振って言った。


「お入りなさいな、クレスト。今日もまた、素敵な噂があるのよ」



 クレスト・ナイトフォールは、情報局の主任であり、現在、王室直属の特務小隊を率いていた。


「マリベル・ルージュ嬢が、侍女とともに公爵邸を出たのは今朝のことです。両名ともに所在不明で、邸内には手紙一つ残されていなかったとのこと」


「警察は動いているの?」


 ソフィア王女が興味深げに尋ねる。


「いえ、公的な届け出はなされておりません。デュラン公爵家の内密な要請を受け、我々に調査依頼が下りました」


「お父上は、お怒りでしょうねぇ」


 エリザ王女が肩をすくめる。


「侍女の名はミーナ。マリベル嬢の幼馴染にして忠僕。以前からその親密さが噂されていたとのことです」


 イデアがわずかに目を細めた。


「それは……まさか、そっちのご関係?」


 クレストは表情を崩さず、淡々と告げる。


「判断は早計かと。何者かによって誘拐された可能性も否定できません」


「なるほど、では捜査の開始ね。クレスト、あなたのチームに任せるわ」


 女王の言葉に、クレストは静かにうなずいた。


「かしこまりました」



 特務小隊は、四人で構成されている。


 冷静沈着なリーダー、クレスト。

 情報収集と変装の達人、ダルビッシュ。

 貴族令嬢にも劣らぬ気品を持つ女スパイ、ミレディ。

 天才的な分析力を持つ少女、ライア。


「赤毛の令嬢とその侍女が消えた、か」


 ダルビッシュが街角のカフェで新聞をめくりながら言った。


「二人が最後に目撃されたのは、公爵邸の裏門。荷馬車に乗って出たそうです。積荷は衣類と生活用品」


 ライアが、テーブルの上に地図を広げながら報告する。


「家出の準備としては完璧すぎるわね」


 ミレディが口紅を塗り直しながら呟いた。


「だが気になるのは、侍女ミーナの兄が最近、街の裏社会に出入りしていたという情報だ。何かが引っかかる」


 クレストは、カップの紅茶に口をつけた。


 その瞬間、遠くで馬の嘶きと悲鳴が聞こえた。

 ダルビッシュが窓の外を見ると、ひとつの荷馬車が広場で暴れていた。


 クレストは立ち上がった。


「行くぞ。あれが彼女たちの手がかりかもしれない」


 令嬢と侍女の謎の失踪。

 駆け落ちか、それとも…。


 それは、また新たな“恋愛スキャンダル”の幕開けだった。



「ルーデン辺境伯爵家の次男、フランツが最近、妙に貴族令嬢たちの間で話題になっている」


 ダルビッシュが投げた言葉に、チームの空気が一変した。


「フランツ…ってあの、いかにも人畜無害な文学青年?」


 ミレディが目を細め、紅茶を置いた。


「そう。以前は社交界でも空気のような存在だったのに、先月あたりから夜会に頻繁に姿を現すようになった。それだけならいい。だが、彼に妙に近づく令嬢たちが全員、婚約者を持っている」


 一瞬の沈黙の後、クレストが手元の資料に目を落とす。


「婚約者持ちの令嬢が、わざわざ彼に近づいている…となれば、ただの噂話では済まないな。婚約破棄が起きれば、またぞろスキャンダルが連鎖する」


「しかも、その令嬢たちには共通点があるわ」


 と、今まで黙っていたライアが口を開いた。


「皆、実家の家計が苦しいの。格式はあるけれど、今や屋敷も売りに出してる家もある。共通してるのは“貴族の看板を守るためなら、多少の手段は選ばない”という雰囲気よ」


 ダルビッシュが静かに頷く。


「その彼女たちが、フランツに夢中になっている…それだけでも妙だが、もっと気になるのは“フランツが本当に何をしているのか”ってことだな」


「つまり、彼が単なる貴族の次男坊に見えて、実は何か裏があるのかもしれないと」


 クレストが椅子の背にもたれかかりながら、考え込む。


「よし。今夜、王立劇場で仮面舞踏会がある。招待客の中に、フランツと噂の令嬢たちも含まれている。これはチャンスだ」


「仮面舞踏会ね。情報収集にはもってこい。素性を隠せるし、噂も飛び交う」


 ミレディが微笑む。


「ただし、今回は慎重にいこう。相手が意図的に何かを仕掛けているなら、こちらが誘いに乗るように見せかけないと」


 クレストが手帳に記しながら言った。


「僕は内密に劇場の警備主任に話をつける。ダルビッシュは会場周辺の監視、ミレディとライアは中で対象者に接触して様子を探る。もちろん、正体は悟られるな」



 夜。王立劇場は煌びやかな光に包まれ、仮面舞踏会は幻想の世界を演出していた。

 白と金を基調にした衣装、羽飾りと宝石の装飾、そして仮面をつけた貴族たちが華やかに舞い踊る。

 だがその華やかさの裏で、幾重にも重なった思惑が蠢いていた。


 ミレディは黒と赤のドレスに身を包み、仮面の下から冷ややかな視線を走らせていた。標的――ルーデン辺境伯の次男、フランツはすぐに見つかった。

 端正な顔立ちと、あくまで控えめな笑み。だが、その周囲に漂う“過剰な雰囲気”が妙だった。


 彼はただ座っているだけなのに、複数の令嬢たちが代わる代わる彼の隣に座り、扇子の陰で何やら囁きあっている。


「どうも不自然ね。あの空間だけ、空気が違う」


 ライアがすぐ近くに来て、小さく囁く。


「私も感じた。まるで、彼の周囲だけが舞台装置みたい。全てが“用意されたもの”に見えるわ」


「まるで“彼に夢中になる演出”を、彼女たち自身が無意識にやってるみたいね」


 そのとき、フランツがふと立ち上がった。誰にも告げずに、劇場の脇にある小部屋へと向かう。


「動いたわ。追いましょう」


 ミレディとライアはすぐさま視線を交わし、仮面を整えながら自然な動作で彼の後を追った。


 だが、小部屋に入った彼の背後に、別の人影が現れた。


 細身で背の高い、全身を黒の礼服で包んだ男。仮面の奥から冷たい視線がのぞく。

 そしてその男は、フランツにそっと何かを渡した。紙のようだった。だがその瞬間、フランツの顔色が変わった。


 恐怖。

 それは、単なる指示を受ける人間の顔ではなかった。命を握られた者の表情だった。


「これは……予想より深い闇ね」


 ライアが低く呟く。


 ミレディは手帳にその様子を記録しながら、小さく口を開いた。


「これまでのスキャンダルとは次元が違うわ。もしかすると――フランツは“操られている”」


「あるいは脅されて、情報を流す役目を負っているのかもしれない。どちらにせよ、これは“社交界の小噂”じゃない」


「クレストに報告しましょう。次の手は……慎重に、でも迅速にね」


 闇に溶け込むように、小部屋の扉が閉じた。



「興味深い。まさか、あのフランツが情報の受け渡し役をしていたとは」


 女王イデアは笑みを浮かべながら、報告書のページをゆっくりと捲った。午後の陽光が王宮の回廊に射し込み、部屋の隅に置かれた花瓶の水面に揺らぎを与えていた。


「フランツはずっと、誰にも注目されないように立ち回っていたのでしょう。けれど、そういう人物こそ、密かに何かを運ぶにはうってつけですもの」


 第一王女ソフィアが、静かに紅茶を口に運びながら呟く。彼女の視線は報告書の中にある令嬢たちのリストに注がれていた。


「でも、婚約者がいる身でそんなふしだらな真似をするなんて、女の恥よ。どんな事情があっても、婚約者を裏切る理由にはならないわ」


 第二王女カトリーヌがやや強い口調で言った。だが、その口調にはどこか、軽蔑ではなく哀れみが滲んでいた。


「“事情があるから仕方なかった”……なんて言葉は、王宮の中でもよく聞く言い訳ですからね」


 三女エリザは薄く笑い、長いまつげの陰から姉たちを見た。


「でもまあ、真相を暴くのは私たちじゃなくて、クレストたち。今回はどんな種明かしになるのかしら。ふふ、次の舞台が楽しみだわ」



 王宮を離れたその夜、クレストたちは再び会議室に集まっていた。


 机の上には、フランツの交友関係と出入り先、そして彼に接近していた令嬢たちの婚約者一覧が並んでいる。ダルビッシュがそれらを指差しながら言った。


「今夜、あの小部屋で彼に紙を手渡していた黒服の男。身元は不明だが、行動パターンからして、単独ではない。組織的な動きだと考えた方がいい」


「そして、もっと興味深いのは……この令嬢たちの婚約者たちよ」


 ライアが数枚の写真を指で滑らせながら言った。


「三人とも、ある共通点があるの。“国庫関連の公的契約”に関与しているのよ」


 ミレディが目を細める。


「つまり、その男たちに近づくために、フランツは“令嬢たちを使って”情報を得ようとしている。あるいは、弱みを握って婚約破棄に持ち込み、政略の再編を狙っている可能性もあるわ」


 クレストが静かに口を開く。


「標的は貴族階級の男たち――だがその裏で女たちを使って彼らに接触させ、破綻を演出し、再構築する。それはただの恋愛スキャンダルじゃない。“貴族ネットワークの編成し直し”だ」


「まるで、新しい貴族勢力を作ろうとしてるみたいだな」


 ダルビッシュが唸った。


「フランツ自身は、おそらく“操られている”側だろうが、裏にいる主導者は……」


「おそらく、まだ表には出てきていない。だが一つだけ分かったことがある」


 クレストは手元のメモを取り出し、声を低くした。


「紙を渡した黒服の男。あの後、劇場の裏口から出たあと、ある場所へ向かっていた。“閉鎖された旧貴族会館”だ」


「旧貴族会館……? あそこは何年も使われていないはずよ」


 ミレディが眉をひそめる。


「表向きはな。だが数ヶ月前から、夜間だけ灯りがともるようになった。誰も立ち入らないはずの場所に、“通う者”がいる」


 クレストが椅子から立ち上がる。


「今夜、そこに踏み込む。相手がどれほどの組織かは分からないが、ここまで来た以上、引き下がる理由はない」


「行こう。今度は、仮面を剥がす側だ」


 ダルビッシュが立ち上がり、上着を整えた。



 旧貴族会館の裏手。

 明かりはひとつ、三階の窓から漏れていた。まるで灯台のように静かに、そして警告するように「ここに何かがある」と。


 ミレディが扉の鍵を静かに開け、無言で手招きする。中は静まり返っていた。月明かりと微かな灯のもと、4人は会館の中へと足を踏み入れる。


 廊下の先、書斎だったと思われる部屋の前で足を止めたとき、音が聞こえた。


 低い声、何かの報告のようだった。


「……次の標的は、エスカー家の三男。父親は軍部に関与している。政務室の資料が手に入れば……」


「ダメよ、これ以上は危険すぎる。すでに疑われてる」


 女の声だった。


 扉の向こうから聞こえる会話は、もはや“証拠”そのものだった。


 クレストが合図を出す。


 ダルビッシュが前に出て、扉を蹴破った。


「動くな!」


 中には、フランツ、そして仮面を外した数名の若い令嬢と、黒服の男がいた。


 驚愕と恐怖がその場を走り抜ける。


 クレストは仮面の下から鋭い視線を送りながら、静かに言った。


「仮面の下に隠していたものは、恋ではなく、陰謀だった。さあ、“舞台の幕”は下ろさせてもらう」



 王都の朝は静かだった。昨夜の逮捕劇がまるで幻であったかのように、街はいつも通りに目を覚まし、パン屋には香ばしい香りが立ちのぼり、市場では果物商たちの呼び声が響いていた。


 だが、王宮の一角、女王専用の応接室だけは、少し違う空気に包まれていた。


「ふふ、まさか裏で貴族同士の“組み替え”を企んでいたとはね。恋愛スキャンダルを利用して政界に影響を及ぼすとは、なかなかの手口だわ」


 女王イデアは、クレストが差し出した報告書を手に取り、艶やかな唇の端を上げた。


「しかも、フランツはただの使い走り。実際に令嬢たちを動かしていたのは、“婚約破棄に憧れる若い貴族令嬢たち”だった……という点が、実に時代の風潮を反映しているわね」


 第一王女ソフィアが頷きながら言う。


「“婚約破棄を自らの意志で成し遂げることで、自由を得たい”という気持ちは分からないでもないけれど…その過程で他人を傷つけるようでは、ただの自己満足だわ」


「自由という名の盾を振りかざして、他人を犠牲にしては意味がないわよね。今回は、それが大規模に仕組まれていたから驚きだったけど」


 第二王女カトリーヌが紅茶を飲みながら、鼻を鳴らした。


「でも、結局それも“誰かに操られていた”……わけではなく、“自分の意思”だったってところが、皮肉よね」


 エリザが笑う。


「何よりも驚いたのは、黒幕と目されていた“あの女”が、結局“ただの傍観者”だったってところかしら」


「ええ、まさに“動かざる観察者”ね。ミレディの報告では、彼女は自分では一切手を下さず、ただ周囲に影響を与えるだけの存在だったとか」


 女王イデアは椅子にもたれながら、静かに報告書を閉じた。


「ふふ、でもよくやったわ、クレスト。王都の貴族界がまたひとつ、健全になったわね」


「はっ。すべて、女王陛下のご信任あってのことです」


 クレストはいつものように淡々と応じるが、その眼差しには、確かな疲労の色がにじんでいた。



 前夜――旧貴族会館での一斉摘発のあと。


 捕らえられたフランツは沈黙を貫いたものの、数人の令嬢たちは恐怖からか、あっさりと口を割った。


「わたしたちが主導したんじゃないの……“あの方”に言われた通りに動いていただけ……」


 その「あの方」とは、ローデリア伯爵令嬢・ヴァネッサ。


 美貌と知性で知られ、社交界でも一目置かれる存在だが、その実、貴族社会の“新秩序”に興味を示し、令嬢たちに「婚約破棄こそが自由を手にする鍵」と説いた者だった。


 だが。


「ヴァネッサは“命じて”いなかった。話を聞かせただけだ。彼女は“選ばせた”だけだったの」


 ミレディがそう報告した時、クレストはただ無言で頷いた。


 令嬢たちは自らの意思で選んだのだ。“恋”を武器にすることを。そして、愛を信じる者たちを、駒として使うことを。


「ヴァネッサの罪は……」


 ライアが呟いた。


「“口火を切った”ことかしらね。火を付けておいて、自分は火元から離れていた。だけど、火が広がったのは事実」


 ダルビッシュが小さくため息をついた。


「放火魔と違って、彼女は火遊びのつもりだったんだろうな。でも、遊びじゃ済まないのが現実だ」


 クレストは窓の外を見つめながら、静かに言った。


「ヴァネッサには、罪に問える証拠はない。だが、彼女の名は――この“事件”の中心で、確実に語られ続けることになる」



 数日後。


 王宮では、小規模ながらも舞踏会が開かれていた。


 事件の影響を受けて中止も検討されたが、女王イデアの「こういう時こそ、皆に安堵を与えるべき」という判断で、開催が決まったのだ。


 令嬢たちの姿もあったが、その中に、ヴァネッサの姿はなかった。


 彼女は社交界から身を引き、郊外の屋敷で静かに暮らし始めたと噂されている。


 クレストは、会場の隅に立ち、穏やかな笑顔で会釈を交わす人々を観察していた。


 スキャンダルは一夜にして起こるものではない。


 水面下に張り巡らされた欲望と策略の糸が、ふとした瞬間に破れて、華やかな社交の舞台を崩壊へと導く。


 だが、その崩壊の音を、気づかぬふりで見過ごす者もいる。


 クレストはそういう者たちを、決して許しはしない。


「次は、どんな仮面が待っているだろうな」


 背後から声がして、振り向くと、ダルビッシュがグラスを片手に立っていた。


「仮面を被る者がいる限り、俺たちの出番は終わらない。そうだろ?」


「ああ。恋という名の騒動がある限り、俺たちは“真実”を照らす灯台でいなければならない」


 クレストはそう呟き、ゆっくりとグラスを掲げた。


 スキャンダルは、今夜もどこかで始まっている。

 そう思いながら、彼は一口、ワインを喉に流し込んだ。


女王様の恋愛捜査網シリーズ、他作もお楽しみ下さい。

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