エンジェルヒーラーの記憶
【霊界】
霊界には階層がある。
死
↓
成仏
↓
第一階層:成仏完了した魂が生まれ変わる準備をする部屋
↓
第二階層:成仏完了した守護霊の役目を希望する魂の部屋
↓
第三階層:生まれ変わる準備が整った魂が待機する部屋
↓
第四階層;不成仏の魂が成仏へ向かうための部屋
↓
第五階層:神々の部屋
クラス分けのように成仏後、
霊界で魂が向かう先が決まるのである。
死者たちは並んでいた。
大天神から生まれ変わるための許可を得るために。
日々、大行列を成していた。
神に生まれ変わりたい理由をプレゼンするのである。
死者「神様!また日本人の男として生まれ変わりたいです!
やり残したことも沢山あるし、
次こそはモテる男として生まれ変わって、それから、、
できればお金持ちとして生まれたいです!」
大天神「、、、、わかりました。」
死者「本当ですか!?ありがとうございます!!」
大天神「それでは、あなたはハエとして生まれ変わりなさい」
死者「、、、は!?」
大天神「いってらっしゃい」
様子を見ていた死者たちはザワついた。
大天神「皆、当たり前に人間に生まれ変われると思っている。
そして、人間に生まれ変わりたいと思っている。
人間の人生を終えた時、初めて人間になることの尊さを知るのです。」
死者たち「、、、神様、、、、どうか、
どうかわたしを人間にしてください」
大天神「誰もが人間になりたいと思っている。」
その頃、
エンジェルヒーラーの部屋にもたくさんの不成仏魂が列を成していた。
不成仏の霊魂だけでなく、納得がいかないまま浮遊霊をしていたが
霊能者によって無理やり霊界に上げられ、
生まれ変わる準備まで及ばない霊たちも多く存在している。
エンジェルヒーラー(天使)は2つに分かれる。
1つはスターヒーラーと呼ばれる人間としての経験がある天使、
もう2つ目は人間としての経験がない霊界から出たことがない天使、
ダイヤヒーラーである。
魂の状態によって、経験値が高いスターヒーラーの浄化を受けるか、
ダイヤヒーラーの浄化で成仏できるか、第四階層に来た時点でクラスが分かれる。
とあるダイヤヒーラーの元に今日もまた一人の不成仏魂が訪れていた。
死者「もう、生まれ変わりたくない。
どうせまた人生やったってうまくいくことなんてない。
もう散々な目に遭ってきた。せっかく死ねたのに、、、」
ダイヤヒーラー「、、、、そうか、うん。わかるよ。
あなたは充分人生をやってきたんだね、、、」
その時、ふと考えた。
わかる?本当に?
生まれ変わりたくないと泣き崩れる霊魂を前に
ダイヤヒーラーは思った。
どうして人間は苦しみから逃げようとしなかったんだろう。
誰かに助けを求めなかったんだろう。
苦しみや悲しみからなぜ死を選択したのだろうか。
成仏した霊魂たちは大天神にひざまづき、
生まれ変わりたいと行列を成しているというのに。
“寄り添えない、、、
このままでは、癒しきれない“
ダイヤヒーラーはスターヒーラーにお願いし、
今日会った霊魂はスターヒーラーの部屋での浄化で成仏に導くことになった。
その日、ひと通りのお役目を終えたダイヤヒーラーは大天神の部屋を訪れた。
ダイヤヒーラー「神様!神様!大天神様!ダイヤヒーラーのわたしです!」
大天神「、、、、中にお入りなさい」
ダイヤヒーラー「はい!ありがとうございます!」
ダイヤヒーラーは慌てて大天神に想いを伝えようとした。
ダイヤヒーラー「神様、なぜ人間は苦しむのですか?
なぜ悲しみ辛い思いをして生きるのですか?」
大天神「ふふ、、、、。授ける時がきたようですね。」
大天神は大きな手をそっと合わせ、ゆっくりと開いてダイヤヒーラーに見せた。
ダイヤヒーラー「わあ、綺麗、、、!」
大天神の手の中には小さく光を放つ美しい太陽のようなものが浮かんで見えた」
大天神「さあ、ダイヤヒーラーよ。
魂が肉体を持ち、人間としての人生を全うしてきなさい。
人間として生まれ、使命を見つけ、そしてまた戻ってくるのです。」
ダイヤヒーラー「はい!神様」
大天神「その時が来るまで、ずっと天より見守っていますよ。」
ダイヤヒーラーはとてもワクワクしていた。
大天神「いってらっしゃい」
ダイヤヒーラー「はい、いってきます。大天神様」
こうして一つのダイヤヒーラーは一人の人間として
魂が肉体を持ち、地上へ降りることになった。
1983年11月11日、月山朱華が誕生した。
一人の、人間として。