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紅(くれない)  作者: はとたろ
第六章 接客
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第八章 再会 1

なんだよ… なんなんだよ くそっ……!


これで60件目 面接で採用を断られた光はマクドナルドでコーヒーをすすりながら毒づいていた


もとBlue Castleの光様が働いてやるってーのに なんで顔見て即不採用なんだよっ!


ああ、きみね 悪いけど真理様の怒りを買うのはごめんだからね 


派手に真理様とやり合ったんだって? いやいや 申し訳ないけどうちじゃ無理だね


オーナーに首切られたやつに働きたいって言われてもねぇ いっそ歌舞伎から離れたら?



「くそったれ! この俺に歌舞伎以外でやれっつーのかよ! 」


マクドナルドを出て ポケットに両手を突っ込んで…酒臭い息で荒れてる光の前方から

声が聞こえた


「 あなた…まだいたの? 」


聞き覚えのある冷ややかな声にギクっとして顔を上げると…自分を追いやった真理がニ

ヤニヤしながら立っている

腕をへし折られそうになり オーナーに首を切られ 歌舞伎中のホストクラブから総ス

カンをくらわせた張本人が…

光をあざ笑うかのように今 目の前に立っている


「 呆れた… 」


え…


「 少しは反省してここからは去るかと思ったけれど…ダメね あなた 」


なっ…!


真理の瞳が真紅に染まり光は体中の力が抜けていった


どれくらい時間が経ったのだろう

通行人たちの蔑みの言葉で光は目を覚ます


「やだ…ボロボロじゃない…」


「やべぇ 呪われそう」


「きったねえなあ んなトコ転がってると邪魔なんだよっ」


ゲイン!


いてっ…


通りすがりの男に思いきり蹴られ体が吹っ飛んだ


何しやがんだあいつ…くそっ…たれが…


立ち上がり追いかけてぶん殴りたいのに金縛りにあったように動けない


何だ…何で俺 動けないんだ…


自分の手にふと目をやると…ボロボロにすり切れたぬいぐるみのようなパイル生地の腕

がそこにあった


え? なん…あの女 何しやがった!!


「なんだ クマのぬいぐるみか? こんなモノが店の前に落ちてると客がキモがるぞ 燃

えるゴミにでも出しておけ」


おもむろに取れかかっている腕を乱暴に掴まれバケツの中に投げ込まれる


いてっ! なに…すんだよ…


自分をバケツに放り込んだのは元Blue Castleで取り巻きの後輩だった涼だ


「 涼…おい、涼、俺だ 、光だよ、助けてくれ! ここから出してくれ! 」


当然の如く涼には光の声は届かない


このまま燃やされるのか こんな…こんな…誰か…助けて!


「 可哀想に… 」


優しい手が自分を両手で抱きあげるとバケツから拾い上げ助けてくれた


「どうして…こんなにポロボロなの 腕も足も…痛いね 苦しいね」


優しく抱きしめられ頭を撫でられながらどこかで聞いたような声に全身が硬直した


えっ!!! まさ…か… まさか…こいつ… 


なんで なんだって生きてんだよ…


「 雪……」


――――――――



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