第七章 アダマス
Camelotに入店して2週間
だいぶ仕事に慣れ先輩たちもみんな優しい
初日当日にランスロットがプレイヤーを引退し、客の引継ぎを自分に託されたのは予想
外の嬉し過ぎる出来事だった
「ぼくの姫君たちに きみの「ぬいぐるみ占い」が当たるし面白いと好評でね、ぼくの
引退後はきみを担当にしたいと
おっしゃられているのだよ」
え、え、え、えぇぇぇー!!!!
そ、それってつまりは…ランスロットさんのお客様が全員俺の担当ってこと???
「ふっ、そういうことになるね」
ランスロットに心を読まれ いともあっさり認められた
「大変に光栄な嬉し過ぎるお話しですが…俺に務まるか正直…不安です」
「平気だよ…ダメな時はきみが真理にイジメられるだけだから…」
やっばりドSだ…
「ぼくもお人好しじゃないからね…見込みのない奴に大事な姫君たちを託さない…
ひとりでも傷つけたり不愉快な想いをさせたら…覚悟しておくんだな」
おいおいおいっ、モロ脅しだぜ、それ…
「どうした? トリスタン、真理とのゲッシュを忘れたのか? 」
そうだった…三ヶ月以内にナンバー2に入らないと姉さんが……
プレッシャーに押しつぶされそうになり押し黙ると 突然ランスロットに肩をポン、と
叩かれ
「お前ならやれる! 自信をもて お前には他の男に真似の出来ない紅が宿っ
ているんだからな! 」
「あの…真理さんもおっしゃっていたんですけど 紅って何なんですか? 俺、いまいち
わからなくて…」
ランスロットは美しいルビー色の魔眼でにやりとしながらひと言
「答えは自分自身で導くんだな…それから…」
ランスロットは右手のリングを外すと央に差し出す
クロムハーツのダガーリング!!! しかもダイヤ入りだぜ…
「ナンバー入りした記念に真理様に頂いた指輪だ ダイヤモンドの宝石言葉はアダマス…
征服されざる者、だ」
征服されざる者…
「こんな高価なリング…しかも真理様から…俺には身分不相応です いただけません…」
「せっかくだから もらっておきなさい」
「真理様…」
「かけがえのない宝石を見つけた人には 必要ないでしょう」
真理はウインクして微笑んでいる
央は意を決したように人差し指にリングをはめた
「ありがとうございます! ランスロットさん、俺、このリングに相応しい男に、いえ、最高の騎士になれるよう頑張ります」
ランスロットに頭をぽんぽんされ 「頑張れよ!」
とびきり優しい微笑みを残してその夜 彼はCamelotのナンバーワンから永遠に身を引いた
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