表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅(くれない)  作者: はとたろ
第六章 接客
29/29

最終章・マリアの目覚め

永遠の眠りへとマリアが入り1年が経った


ルージュとして完全に覚醒した央はCamelotのナンバー1となりマリアの父に代わってプレイヤーの誰もが恐れおののきひれ伏せるカリスマとなり歌舞伎を支配していた

ひたすら愛するマリアが目覚める時を待ちわびながら…


はたして央の愛は報われるのだろうか

「メリークリスマス姫君、ようこそクリスマスナイトへ」


「あなた…トリスタン? まあ、わからなかった、まるで本物みたい」


「いいえ、姫様、今宵はあなたのサンタクロースです。故にトリスタンめは不在ですのでご容赦を…」


「メリークリスマス~♪ あらあら、まあまあ♪サンタさんがいるわ」


「皆さま、今宵は聖なる夜…少女に戻り心ゆくまでお楽しみくださいませ」


「Camelotは本物のサンタさんがいっぱいねえ」


「香奈姫、メリークリスマス♪ 幸福を届けるトナカイをどうぞ」


トリスタンは可愛らしいトナカイのぬいぐるみを姫たちに配って歩く


「なんて抱き心地がいいのかしら」


「本当ね~モフモフして癒されるわぁ♪ さっそく今夜から一緒に寝るわねトリスタン、じゃなかったサンタさん」


「それはそれは…お優しい久美姫様、トナカイが喜んでいますよ」


「ここに来るとほっとするのよね」


「私もよ、安心できるっていうか…それでいてトリスタンはセクシーさに磨きがかかったからあの目で見つめられるとドキドキしちゃう」


「癒しとときめきをくれるナイトのお城なんてそうそうないわ」


「それにしてもたった1年で代表兼オーナーになるなんて立派だわ」


「お褒め頂き感激です。塁姫」




1年か…早いものだな



真理ならぬマリアが眠りに入り1年になる


央はルージュ侯爵としての過去の記憶を取り戻し完全に覚醒してCamelotのナンバー1となり今やマリアの父親に代わって歌舞伎を取り仕切り一流プレイヤー達の

誰もが恐れひれ伏すカリスマになっていた


そして光ならぬ亮は央の姉、雪と結婚し、妹のキーシャ(ぱんき子)と共に陰でCamelotを支えている


さあ…マリア…あとはお前の目覚めを待つばかりだ


何もかも思い出した俺は誠心誠意、心を込めた接客でナンバー1になり女性たちを食い物にするハイエナを徹底的に歌舞伎から排除した


この街を不夜城でなく姫君たちがゆったりと安心して寛げるサロンにするために


俺の片腕となりあらゆる面で助けてくれた亮には感謝している


そして厳しい指導で成長させてくれたルディ様(司)にヒロ先輩、豪先輩…


ナイトの先輩方…


あまちゃんだった俺がCamelotを任せられるようになれたのは今日まで支えてくれた皆のお陰だ


そして…マリア…


もう一度、もう一度、お前の微笑みが見たい


その声で名前を呼んでほしい


甘く香しい肌に触れたい…


俺は待つ…何年でも何百年でも待ち続ける


再びお前が目覚めて美しい瞳で俺を見つめてくれるその日まで


俺のマリア……



※※※※



「メリークリスマス!央」


「これはこれは静香姫、メリークリスマス、聖なる夜にお会いできるとは…まさしくクリスマスの奇跡です

ですが…今宵わたくしはサンタクロース、央ならぬトリスタンは不在ですのでご容赦を」


央はウインクして真っ白い髭を揺らして微笑んだ


「そうだったわね、素敵なサンタさん、なら私はクリストキントになろうかしら?」


「それは素晴らしい! どうぞこちらにキントに変身していただきましょう」


「わぁ楽しそう♪」


誰もが子供のように無邪気になれるクリスマス


央は訪れてくれる姫君たち全員にクリスマスの魔法で楽しんでほしかった


「皆さま、メリークリスマス♪」


司が大きなツリーの着ぐるみに電飾をつけて登場


「まあ、ルディよ~」


「ご覧あそばせ! 歌舞伎町の魔王ルディですわ♪ まあクリスマスツリーになっても麗しいこと!!」



相変わらず派手がましいな…ルディ…この人にはかなわない


背中に薔薇をしょっているような天性の華と艶やかさには舌を巻くぜ…


ルディが央をじいいい…


な、なんだ? また人の心を読みやがった


随分と弱気だねぇ…ルージュ侯爵…


僕にかなわないと兜を脱ぐならマリアは譲ってもらおうか?


な…!!


貴様…ふざけるな…


央の瞳が紅色に染まり怒りにめらめらと燃えている



きみこそ場をわきまえたまえ…


そんな恐ろしい顔して…せっかく楽しんでおられる姫君たちの気分を害したいのかい?


くっ…こいつ…!!


「あっはっはっ…姫君、メリークリスマス、このクリスマスボールをお取りください」


「あら、中身が開くのね」


「開けてみて…」


久美の耳元でセクシーに囁くルディ


「あら!ダイヤのピアス! なんて美しいの」


「クリスマスの精霊からの贈り物です」


ルディはその調子でCamelotの姫君全員に素敵なサプライズをして廻っている


「かなわないよな…ああいうところ」


ガラハットが苦笑いして央の肩を叩く


「気にするなって、お前さん、いじられてんだよっ」


うう…


確かにいじられている…ルディに比べたら俺はお子ちゃまだし…くそっ


まだまだだな…俺…


「メリクリ♪クリスマスカラーのカクテルは如何かな?」


トナカイのツノをつけた亮がグリーンのカクテルを手に微笑んでいる


「亮…」


「フォーエバーグリーンの緑色…安心しろ、ノンアルだ」


鮮やかなグリーンのカクテルの中に金粉がチラチラと舞っている美しいクリスマスカクテルだ


「時々思うんだけど…」


「うん?」


「天才だよ、あんた」


「そうでしょ、央くん、光は天才なのよ」


「姉さん」


「姉さんの考案したおつまみセットも評判いいぜ」


「ああ、あれはね、キーシャと考えたのよ」


「そうか、流石はグルメな我が妹♪」


「飲んでみてくれよ、それ、お酒の苦手な姫もイケそうかな?」


「おお♪」


コク…うわっ、なんてゆーか…夢のような味だな


爽やかなメロンの香りが口いっぱいに広がって…すげえ特別感


「すごくラグジュアリーに浸れるな、ああ、私をお姫様として扱ってくれているわって嬉しくなる」


「それはよかった、試飲さんきゅ」


「へ? おい、もしかして毒味かよ~」


「央くん、ビンゴ~」


和気あいあいの3人


完全に覚醒したとはいえ…下界にいると央の無邪気なキャラはそう簡単にはなくならない


というか…ルージュ侯爵の時からすでに無邪気で可愛いモノ好きだったのである


「央、ちょっと外出て頭冷やして来いよ」


「あ、ヒロ先輩、メリークリスマス」


「ああメリクリ、代表になっても変わらねえな(笑)はやく行ってきな」


「かしこまりました」


央はサンタのまま店外に出て目をこすった


え…? 俺は…夢を見ているのか?


目の前にマリアが微笑んでいる



「相変わらずね…ルディにいじられて…」


「マリアなのか…本当に…」


「夢かどうか触れてみたら?」


悪戯っぽく微笑む顔はマリア、というか真理そのものだ


央は駆け寄ると口づけをして思いきり抱き締める


愛しい人の唇に吐息…


間違いない…マリアが帰って来た


「いつ目覚めた?」


「1時間くらい前…驚かしたくて…ごめんね」


もう一度、存在を確かめるように強く抱きしめて口づけをする


央の瞳からとめどなく涙が溢れた


「待ってたんだ…ずっとずっと…どんなにこうしたかったか…ごめん、ごめんな…俺のせいで」


央の唇をマリアの人差し指が塞いだ


「あなたのせいじゃないわ…私が知っていて…悪いのは私よ…自分を責めないで…ルージュ侯爵」


「マリア…」


「本当にサンタクロースって…いるんだな」


「俺には最高のクリスマスプレゼントだぜ!!」


「ルージュ…心配かけて…ごめんなさい」


ふたりは強く強く抱き合い互いの温もりを確かめ合っていた



あ…


マリアの漆黒の髪に舞い降りた雪に気付き空を見あげる


「ホワイトクリスマスだな…」


「これで…帰れるな…俺たちの魔城へ…」


「そうね…Camelotの最後の夜ね」



ヒュードドーン!!


粉雪が舞い散る夜空をふたりを祝福するかのように愛の三発花火が艶やかに彩っている


「おかえり、マリア」


「ただいま、ルディ…」


え…


「ルディ、あんた、知ってたのか?マリアが目覚めたのを…」


「ああ、だからお前さんを外に出そうとしてわざと怒らせたんだけど?」


心憎い…ことするぜ…やっぱりこいつには敵わない…


「おや、やはり兜を脱ぐか」


「ああ、でも…マリアは俺の花嫁だからな」


「おめでとう、マリアちゃん」


「まあまあ、眠り姫が目覚めたのね♪」



央は何の戸惑いもなくマリアを祝福する姫君たちに唖然…



「ああ、言い忘れてたわ…Camelotの姫君は全員、一族なの。つまり…Vampireよ」


「ええっっ!!! 」



「気付かなかったの? おバカさん」




ウインクするマリアを抱き寄せるとルージュは皆に祝福されながら熱い口づけを交わした



※※※※



Happy ending, right?






――――――――

この作品を見つけて読んでくださった方へ…


読んでくださってありがとうございます


(ルージュ)は好きなキャラクターですので幸せになってほしいとの作者の気まぐれにてこの回を持ちましてハッピーエンドとさせていただきました


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ